2017年6月11日、立命館大学ロボット技術研究会(以下:RRST)が、「NHK学生ロボコン2017」に2014年以来3年ぶりに出場する。RRSTの代表、そしてRRST内のNHK学生ロボコンプロジェクトでリーダーを務める森田さんにとって、憧れの大会だ。

悔しさをバネに

RRSTには約80人のメンバーが所属し、複数のプロジェクトに分かれて日々製作に励んでいる。NHK学生ロボコンプロジェクトでは、森田さんを含む5人の主要メンバーと他25人で一つのロボットをつくり上げた。森田さんは1回生のときから出場を目指してきたが、出場は叶わず、とても悔しい思いをしてきた。先輩たちのサポートとして関わっていた前回は、各班同士の情報共有がうまくできず、進捗状況などをお互いに把握できていなかった。そして、2016年3月、プロジェクトリーダーとなり、「今度こそは絶対に出場したい」という強い思いで臨んだ今回は、「高度なことではなく、確実に動く機体をつくろう」というコンセプトのもと、班同士の情報共有を頻繁に行い、製作に取り組んできた結果、ついに大きな目標であった出場が実現した。

チームで乗り越えた日々

NHK学生ロボコンは、書類選考、第一次ビデオ審査、第二次ビデオ審査を通過すると出場が決定する。競技ルールは毎年異なり、8月末に発表されてから書類選考までの期間はとても忙しかったという。ハード班(機体の設計や加工)、回路班(配線や電装全ての準備)、制御班(プログラム製作)の中で、森田さんは回路班と制御班を担当した。勉強も手を抜かず取り組んできた森田さんは、睡眠時間を削り、学業とロボット製作の作業に没頭した。

製作の過程ではうまくいかないことも多く、原因を追究し改良を重ねてきた。「とてもきつかったですが、一人ではなくみんなでやっているので、自分がここで折れるわけにはいかないと思えました。メンバーみんながそんな思いだったと思います。大変だったけれど、毎日充実して楽しかったですね」と笑顔をみせた。1年以上一緒に活動してきた5人。チームメンバーのモチベーションを維持するため、思ったことや気づいたことは話し合い、情報を共有することを大切にしていたという。今年の4月末、出場が決まったとわかったときは、5人で飛び上がって喜んだ。「アドバイスをくれた先輩たち、手伝ってくれた後輩たち、部員にも感謝の気持ちでいっぱいになりました」と振り返る。

大会を目前に控え、「大会は楽しみもある反面、久しぶりの出場で強豪チームと比べると技術的にもまだまだ未熟なところもあるので、不安な面もあります。でも出場するからには、少しでも勝ち上がり、できるだけいい結果を残したいです」と力強く話した。チームで一丸となってつくりあげたロボットで、念願の大会に挑む。

PROFILE

森田崇文さん

愛知県立一宮高等学校(愛知県)卒業。高校時代は体操部の主将として活躍し、床と鉄棒を得意としていた。工学系、特に電気電子系の勉強が好きで、入学時からロボット技術研究会に所属。学業にも励み、1回生の頃から継続して「立命館大学西園寺記念奨学金(成績優秀者枠)」の奨学生に選ばれている。今後は、パワーエレクトロニクス(電力用半導体スイッチング素子を利用した電力変換や制御などを行う技術分野)や制御についての研究をする予定で、博士課程までの進学も視野にいれている。

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