2020年度 第1回全学協議会代表者会議 議論まとめ
2021年1月27日に、2020年度 第1回全学協議会代表者会議が開催されました。2020年度は、R2020 後半期計画の最終年度であり、学園ビジョンR2030立命館大学チャレンジ・デザインが議決された年です。2019年度全学協議会以降に各パートで議論を深めてきた論点の確認とともに、2020年1月に国内で感染例が生じた新型コロナウイルス感染拡大による影響もふまえ、どのように学ぶ機会を充実させていくのかという点が協議されました。また、新型コロナウイルス禍により、学生・院生が教学や学生生活に甚大な影響を被ったことを受け、その声を直接聞かせてもらいたいという趣旨から、理事長・総長も出席して開催されました。
第1議題:2019年度全学協議会からの継続課題の確認、および2020年度の新型コロナウイルス感染拡大の影響を踏まえ実施してきた施策について
学友会からは、2019年度全学協議会で確認したことのうち、おもに①「試合等参加証明書制度の周知徹底」②「グローバル化のさらなる促進」③「ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みについて」④「分かりやすい奨学金制度設計と学生への周知」についての進捗確認がありました。
また、新型コロナウイルス禍において、対面授業の激減、留学の中止、課外自主活動の制限や学生間のコミュニティの未成熟など、学びの機会の損失は大きく、人間的成長の機会を著しく損なわれたという認識が提示されました。特に顕在化した学びに関わる課題として、⑤「Web授業における課題の増加」⑥「授業等で活用するICTツールの標準化」⑦「Web授業で提出した課題等への教員から学生へのフィードバックの機会の担保」⑧「通信環境の整備」⑨「教育効果を高める講義形態の模索」⑩「課外自主活動の対面活動実施に向けた進め方」⑪「初年次教育の重要性と特に1回生のコミュニティ形成について」などの問題点を指摘し、改善を求めました。
これらの確認や指摘について、大学は以下のとおりに回答しました。①試合等参加証明書について、教授会・教務支援ホームページ等でさらに丁寧に説明をしていきます。問題が生じた際には、まずは学部事務室・学びステーションに相談いただき、学生部が連携して対応をします。②グローバル化の促進については、新型コロナウイルス禍でも、仮想BBPをはじめ各種のコンテンツを稼働させました。到達実感のもてる外国語の学びについては、引き続き学友会と意見交換の場を設定します。③④ジェンダー・セクシャリティなどのダイバーシティ&インクルージョン、ならびに奨学金の取り組みについては、別途、学友会への説明と懇談の場を持つことを確認しました。
新型コロナウイルス禍における学びへの課題について、⑤Web授業による過度な課題に対して、大学は「課題の分量と提出期間」に対する配慮を秋学期開講時に教員に対して求め、引き続き「単位制度の実質化」の取り組みを進めます。⑥Web授業で使用されるICTツール(オンラインツール)の「標準化」については、試行的な現状での統一は適切ではないため、今後の課題として受け止めます。⑦課題のフィードバックについては、より教員が注力できるよう、教学部においてFDに関する懇談会やITスキルに関する研修会の開催などの支援をしてきました。フィードバックに関する基本的な考え方については、全学レベルで合意形成と共有化をめざし、一定のルールを作り上げる必要性を認識しています。⑧通信不良への対策として、大容量で安定的かつ高速であるオンライン環境の支援サービスの導入が計画されています。⑨今後の講義形態については、大学は対面授業とWeb授業のそれぞれのメリットを享受するハイブリッド型(対面・Web併用)を考えていきます。今後とも、学生相互の学びあい・ピアラーニングの場を確保する課題を共有し、学生のみなさんと議論を重ねていきます。
課外自主活動について、⑩再開については、学生の生命・健康を守ることを最優先に、4月からオンラインでの支援などを進めてきました。課外自主活動の取り組み自身が、みなさんの成長に重要であるという立場から、6月より対面での活動再開を段階的に進めています。クラブ・サークルが主体的・組織的に活動意義や構成員の安全・健康を守る活動計画を再確認する中で、みなさんの人間的成長もあったと感じています。⑪2021年度の新歓活動は、新1回生だけでなく2020年度入学の新2回生も対象とする企画の実施をめざします。オリター団等の学生とともに、安全・安心なキャンパスで新入生を迎え入れます。
院生協議会連合会は、2019年度全学協議会からの進捗の確認としてグローバル化、施設整備やキャリアパス、ならびに学費について説明を求めました。研究環境の充実に関わる課題について大学は、院生の安全確保や施設の管理に加え、近隣の環境保持が重要で、住民との調整に力を入れています。特に研究施設の24時間化については課題が多く、現状ではその実現は難しいものの、利用ニーズがあることを受け止めました。その可能性を探るなど、継続した協議を行います。
第2議題:新型コロナウイルス禍での経験をふまえた学費のあり方について
この協議では、学費の重みに応える教学の考え方を大学から説明しました。また、学費に見合った学びの実感の重要性について、継続して協議を重ねることを確認しました。大学からの説明の要点は、以下のとおりです。
リアルな学びと、それを満たす条件の整備、Webを活用した新たな授業方法の開発、ならびにWeb授業受講のために、大学は必要な環境の整備、家計急変などに対する奨学金・助成金など「新型コロナウイルス禍に対する学びの緊急支援」策として総額25億円の取り組みに尽力してきました。とはいえ、2020年度春学期に学びと成長の機会が十分に提供できなかったことを理由に、学費の一部返還を求めるといった意見があることについて、大学として重く受け止めています。キャンパスでのコミュニティ形成、友人作りや学び合いなどが著しく制限され、留学中止も余儀なくされました。そのことが学生生活全体に重大な影響を及ぼし、現在もそのなかにいることを大学は重く認識しています。このような状況において大学が果たすべき責任は、おもに次の点にあると考えます。
●授業、コミュニティ形成、留学や学外のフィールドワーク、課外自主活動などのいずれにおいても、従来のリアルな対面を前提とする方法と、オンラインを活用した教育・学生生活の新たな可能性との両立を追求します。
●これらに必要な環境整備への投資を行うとともに、感染防止対策を徹底します。
また、新型コロナウイルス感染拡大防止、学生生活の安全・健康確保を第一に諸施策を進めてきました。学生が学びを続ける・成長をする・実感を持てることの担保のため、学生サポートルームや障害学生支援室などにおいてオンラインでの学生相談を進めました。保健センターでは発熱外来を開設して、スクリーニング室を設け、キャンパス内で安全な診察体制を整備しました。本学独自の学びの緊急支援として、春学期には全学生を対象に一人当たり3万円、家計急変等経済的事情がある学生・院生3,796名(留学生含む)を対象に9万円を給付しました。秋学期には、留学生を対象に追加の支援も行いました。課外自主活動では、オンラインでの交流支援や感染症拡大防止を十分に図りながら、オンキャンパスでの対面ブースによる勧誘活動などを進めてきました。これらの取り組みのなかで、学生のコミュニティ形成を支援しています。
学費は、大学全体の教学・学生生活全般を支える総合的な対価であり、原資となります。学生の学び・成長・交流の機会を提供するうえで、学費は不可欠な財源です。学費収入による財政基盤があるからこそ、教学の質を低下させることなく、持続的な展開・改善が実現できるのです。将来にむけた持続的な教学向上の営みは、卒業後も母校の価値向上として還元され、本学が歴史的存在として永続してきたと認識しています。新型コロナウイルス禍であっても、立命館大学は学生の学びや様々な活動を通じて学費に見合った成長の実感や達成感を持てるよう、引き続き全力を尽くすことを約束します。なお、このような考え方を具体的に推し進めるものとして、2020年12月に学長からのメッセージ「新たなキャンパスライフをつくる7つの宣言」 がみなさんに発信されています。
議論を通じて、特に学友会から提示された対面での授業、課外自主活動や留学などの成長の機会が失われたこと、そして学生自身の成長が確認できる機会を保障して欲しいという切実な要望を、大学は重く受け止めました。2021年度新入生や新2回生を含めたすべての学生に対して、対面を中心としつつ、オンラインの活用を含めた可能な限りのことを行うと仲谷総長は約束し、今後とも継続して対応することとしました。なお、この協議でも重要なテーマとなった2020年度の新型コロナウイルス感染拡大を踏まえた取り組みと今後に向けた展望については、『RS学園通信特別号』を4月以降に発行し、改めて全学で共有します。