Greeting

室長あいさつ

MESSAGE

室長挨拶

東日本大震災から
10年を迎えて

2021年4月
学校法人立命館 災害復興支援室
室長 サトウタツヤ

 2011年3月11日に発生した東日本大震災とそれに端を発した福島第一原子力発電所事故において、私たちはその未曾有の被害に大きな悲しみと衝撃を感じると同時に、教育研究機関として被災地の復旧・復興という切実な課題にどう貢献し得るのか、私たちの使命と役割、あるいは「何のために何を学び、教え、研究するのか」という根源的課題を突きつけられることとなりました。 2011年4月当時、関西の地から何かできることはないか、との思いから立命館は「災害復興支援室」の設置を決定しました。被災した地域の住民の方々の多くが避難所で生活を送り、福島の一部地域では政府の避難指示により故郷から離れることを余儀なくされるなかのことでした。支援室を中心に学生・教職員・校友・父母など学園をあげて被災学生・校友の支援や被災地の復旧に取り組み、学生・教職員によるさまざまな自発的な取り組みも活発に生まれました。

 この10年間で、立命館大学をはじめ、APU、附属校の学生・生徒は累計にして約2500人が被災地域で活動を経験しました。災害に遭った地域での課題に接し、現地の人々とのふれあいなど貴重な経験を通じて学び、社会に飛び立っていきました。中には復興支援をテーマに起業をした人や、支援活動の縁からその地に移住し根を下ろした人もいます。今はたとえ災害復興にかかわりのない生活をしていたとしても、いつ起きるかもしれない災害が発生した時、これからの日本の復興を担う人材として、未来に貢献をしてくれる人となってくれるものと思います。研究面でも、2011年度以降多様な研究プロジェクトが推進され、現在も災害や防災の分野で成果の蓄積が図られ、その知見を活かす試みが続けられています。

 あの日から10年が経過し、東日本大震災の被災地域の復興は地域ごとの状況の進捗や課題の違いが時の経過とともに顕著となり、課題は多様になっています。しかし、こういう状況だからこそ、教育研究機関として貢献できる分野はさらに広がり、貢献できる可能性が多く残されているとも感じているところです。

 立命館はこれからも、地域と日本社会の希望に満ちた未来を生みだす教育と研究の実践をいっそう進めていく所存です。災害復興支援室を設置して10年を迎え、わたしたちは改めて、これまでお世話になった地域社会の皆さまから学んだことを振り返り、このウェブサイトを一つの媒体として、10年間のなかで得た教訓を記録として残すことを通じて、未来に向けて活動を継続的に進めていきたいと考えています。