修了生の声

林 優里香さん 英米文学

林 優里香さん

前期課程 高度専門コース 2020年修了
佛教教育学園 東山中学高等学校
英語科教諭

生徒一人ひとりの目標に寄りそうため、
自分自身の学びも深めています

大学入学時からの希望をかなえ、私立男子校の教員に

大学入学時から、英語科の教員を目指して教職課程を履修していました。大学院時代、個別指導塾でのアルバイトの経験から、心理的に難しい時期の男子生徒を伸ばしてあげることに魅力を感じ、男子校を志望。私立中高一貫校で、専任教諭として生徒の指導を行っています。中学校の難関大学進学コースの担任と英語科、さらには英語を使う部活動の顧問も務めています。

中高一貫校では、先取り学習や発展的な授業が不可欠。一方で、成長過程や能力にばらつきがある時期でもあることから、ICTも活用し、効率的でわかりやすい授業、遊びの要素も取り入れた活発で楽しく学べる授業を心がけています。部活動では、授業での導入が難しい取り組みも積極的に行っています。例えば、英語で大喜利系のボードゲームを楽しんだり、TOEICやTOEFLに挑戦したり。部員は英語の能力が高く、学習意欲もあるので、何事にも前向きに取り組み、どんどん伸びていきます。教科指導も、顧問としても、周囲の先生方から日々多くのことを学ばせていただいています。

勤務先の学校は銀閣寺や南禅寺に程近い自然豊かな環境です

勤務先の学校は銀閣寺や南禅寺に程近い自然豊かな環境です

「一番やりたいこと」を優先させ、文学研究科へ進学

私は学部3回生から英文学研究のゼミに所属していました。金山亮太先生は、作品を読む時に抱いたささいな疑問にも、その文化背景や歴史から掘り起こすような詳細な解説をしてくださる先生。先生のご指導のおかげで、私は、ストーリーやキャラクターはもちろんのこと、登場するものの一つひとつに至るまで、その意味が理解できるようになり、そこから芋づる式に作品を読んだ時に見えるものの種類が大きく広がりました。

大学院文学研究科に進学したのは、金山先生のもとで英文学についてより深く学びたかったのと、私立学校の教員に応募する際に有利となる教員専修免許状を取得したかったからです。教職大学院への進学も考えたのですが、その時点で一番やりたいことを優先させました。もし必要なら修了後にもう一度教職大学院で学び直せばいい、そんな気持ちでした。

大学院では、E.M.フォースター『眺めのある部屋』の主人公ルーシーの描写の変化について研究。この作品は、二度の書き直しを経て出版に至っており、その過程でルーシーの性格や行動、物語の結末までもが変容しています。なぜルーシーは変貌したのか、当時の同年齢の主人公たちがどのようにして描かれているのかについて、ほかの作品にも触れながら考察しました。

イギリス留学時の様子です。幅広い文学について実際に見て触れながら学ぶことができました
イギリス留学時の様子です。幅広い文学について実際に見て触れながら学ぶことができました
最近は自分が身の回りを観察しながら、学ぶことの楽しさを探すようにしています
最近は自分が身の回りを観察しながら、学ぶことの楽しさを探すようにしています
英文学研究の経験は、さまざまな情報から生徒の内面をくみ取ることにも通じる

同じ文学作品でも、書かれていないことまで感覚的に理解できる日本語の作品と違い、英語の作品の場合、ただ文章を読んだだけでは理解できたと言える段階に至ることができません。「この描写はどういう意図なのか?」について、これまでに積み上げた知識を駆使し、質問もして、自分なりの文脈を組み立てていく必要があります。大学院では、金山先生のご指導のもと、この作業を繰り返していました。

今の仕事でも、生徒のささいな行動や発言からその意図をくみ取ることがとても大切です。時にはじっくり話もして、一見バラバラな情報から、本人も言語化できない内面をくみ取っていく。その積み重ねが生徒との関係を築く足がかりとなると感じています。また大学院で身につけた「深く思考する力」は、疑問や関心を持ち、継続的な学習を行うといった基本の徹底が不可欠だと実感しているので、生徒の指導にもそのことを活かしたいと思います。

最近、教科書通りに教えるだけでは教育とはいえないということが分かるようになってきました。生徒一人一人の目標に寄り添う教育の提案ができるよう、言葉の意味をもう一度辞書から洗い直すなど、自分自身でも日々学びを深めています。生徒が楽しく学べる環境づくり、生徒の主体性を育む学習活動を模索し、ICTも活用しながら五感に訴えかけ、あっという間に50分たったと思うような授業に挑戦したいと思っています。

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