- 桑田 繁樹教授
- Shigeki Kuwata
- 応用化学科
- 研究室錯体機能化学研究室
- 専門分野錯体化学、有機金属化学
- 担当科目無機化学II、無機化学III
- Q1研究の内容を教えてください。
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窒素ガスや二酸化炭素など、大気中に豊富に存在する小分子の有効活用は重要な研究課題です。人類が大量のエネルギーを投じて工業的窒素固定法であるハーバー・ボッシュ法を実施している傍らで、自然界では生物学的窒素固定や光合成によってアンモニアや炭水化物がいとも簡単に合成されています。私の研究室では、金属と配位子の組み合わせからなる金属錯体モデル化合物を用いてこれら酵素反応の仕掛けの解明を進めるとともに、そのエッセンスを取り入れることによって、酵素を超える人工錯体触媒の開発に挑んでいます。
- Q2研究に興味を持ったきっかけを教えてください。
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大学受験から解放された後、できるだけ試験とは関係のないことがしたくて色々な本を乱読したりしました(もちろん遊びも一杯楽しみました)。そのときに高校の教科書では見たこともない不思議な、かつ面白く美しい構造の分子が世の中に沢山あることを知り、自分もそのような分子を作ってみたい、理解したいという素朴な考えで合成化学の研究室に進みました。1年以上全く成果が出ず「研究に向いていないのかも」と悩んだこともありましたが、苦労の末に「世界で自分だけが手にしている分子」を得た喜びは何物にも代えがたく、現在の研究につながっています。
- Q3高校生へメッセージをお願いします。
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高校の授業カリキュラムはスポーツの基礎トレーニング、筋力トレーニングに似ているかもしれません。地道な鍛錬の積み重ねが将来の華やかなプレーにつながるわけですが、高校の勉強の先に広がる世界を知るとモチベーションも高まりますので、オープンキャンパスやインターネットなど様々な機会、ツールを上手に活用するとよいと思います。また喰わず嫌いをせず、色々なことに取り組んで将来の自分の可能性を広げてください。私は高校のとき生物の授業が嫌いでしたが、何の因果か今では生物をお手本とする研究に取り組んでいます。部活などの課外活動で培われる体力、精神力、協調性なども大切な財産になるはずです。
- おすすめの書籍
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二重らせん/ジェームス・D・ワトソン(中村桂子,江上不二夫訳)