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  • 木津川 尚史教授
  • Takashi Kitsukawa
  • 生命情報学科
  • 研究室脳回路情報学研究室
  • 専門分野神経科学、ニューラルネットワーク
  • 担当科目システムバイオロジー
    • 神経科学
Q1研究の内容を教えてください。

 私たち動物は、非常に多くの行動パターンを持っていて、目的に合わせて取るべき行動を取捨選択し構築しています。首尾よく行動するには、順序よくタイミングよく運動を組み立て、協調させる必要があります。私たちは、運動の協調を司る神経機構に注目して、運動するマウスの神経活動を計測してきました。その結果、マウスは運動のリズムを利用して体の協調を作り上げていることが見えてきました。ところで、脳の神経活動には、いたるところにリズミカルな活動が見られます。リズムを作り出す脳の機能は、脳の情報処理の基盤なのかもしれません。そんなことを考えながら、行動実験と神経活動の記録、それらを基にしたコンピュータによるモデル化を行い、脳の情報処理機構の解明を目指しています。

Q2研究に興味を持ったきっかけを教えてください。

 いろんな生き物を野外で見て、行動に興味を持ったことです。長野県の山裾や新潟県の海沿いで育ったので、様々な野生の生き物を見ることに関しては恵まれていたかもしれません。動物は種ごとに異なる行動パターンを示します。本当に様々な行動があります。なぜ、そんなに違うのか、と考えてみると、体の構造が異なっていること、そして行動を司る脳の機能が異なっていることが原因だろう、と考えられます。種ごとに異なる遺伝子のセットが存在しているわけですね。そのせいで異なる神経回路ができあがり、異なる行動が出てくる。このシステムがどのように成り立っているのか、未だに自分にとっての中心課題です。

Q3高校生へメッセージをお願いします。

 夢中になれることに、いつか出会うと思います。もう出会ってる人もいるかもしれませんし、これからの人も多いと思います。一つだけではないだろうし、今すぐ決める必要はないと思いますが、気が向く方向に、寄り道しながらでも登り続けてほしいです。それが、アンテナを張ることにつながり、自分にあったものを見つける近道になると思います。それから、同じ夢中になれることであっても、自分がそれを消費するだけではなくて、真理をさらに追及したり、価値を積み上げたりしていける、そういう夢中がいいですよね。そこらへんが、勉学が研究にかわっていく変換点だと思います。

おすすめの書籍

コンラート・ローレンツ著 『ソロモンの指環』