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RBSセミナー・シンポジウム等

第18回RBSセミナー「観光立国への再起動-Act for 2025 and the Beyond-」

日時
2022年11月19日(土) 13:30~16:30
場所
立命館大阪梅田キャンパス(大阪富国生命ビル5階)+オンライン(Zoom)同時配信
ゲスト講師

寒竹 聖一氏

WILLER株式会社 執行役員

ゲスト講師

遠藤 克己氏

日本政府観光局(JNTO) 理事

コーディネーター
立命館大学大学院経営管理研究科兼任講師 
石崎 祥之教授

レポート

「観光立国への再起動:Act for 2025 and the Beyond」をテーマとする第18回RBSセミナーを、立命館大阪梅田キャンパスを会場に、オンライン同時配信で実施しました。訪日旅行(インバウンド)が再開された今、観光立国の実現に向け、具体的な行動として何をなすべきかを改めて議論し、共有するための機会として企画されました。

寒竹聖一氏

まず、WILLER株式会社執行役員の寒竹聖一氏による講演「丹鉄観光ブランディング論」では、地域ブランドの構築という観点から、京都丹後鉄道(丹鉄/TANTETSU)運営会社WILLER TRAINの社長時代における様々な取り組みが紹介されました。寒竹氏は、丹鉄を「地元に愛されるシンボリックな鉄道」としてブランディングするために、フォトコンテストや観光列車の運行、JRなど他の公共交通事業者との連携など次々に実行されましたが、活性化に向けて地域の事業者がどう取組むべきか考えるためのヒントが多く含まれていたように思います。続いてWILLERにおけるITを活用した先進的な取組みについても紹介されました。現在、大阪を含む全国各地でのオンデマンド短距離移動サービスやシンガポールにおける自動運転の社会実験など様々な取組みが実行されています。これらは、Maas(Mobility as a Service)、即ち、あらゆる交通手段をシームレスに繋ぐことを通じて、誰でも自家用車なしに目的地に行くことが可能な、移動格差のない社会の実現を目指すための取組みであり、観光ビジネスにおけるイノベーションとして今後の動向が注目されます。

遠藤克己氏

次に、日本政府観光局(JNTO)理事の遠藤克己氏の講演「インバウンド再開、2025に向けてのチャレンジ」では、コロナ禍前のインバウンド観光における課題を踏まえて、JNTOにおけるインバウンド観光の本格的な回復に向けた取組みや2025年の大阪・関西万博に向けた取組み、さらにはMICEの振興に向けた取組みについての紹介がありました。その上で、今後インバウンド関係者に求められることとして、①外国語対応(単なる翻訳ではない、ネイティブによる書下ろし)やキャッシュレス対応、事前予約、混雑状況の発信など旅行者が満足して滞在できるようなより細かな対応が必要なこと、②ターゲットを明確化すること、③地域内・地域間でもっと連携する必要があること、④旅行消費額を高めるべく高付加価値化(例えば、ラグジュアリー観光への対応)に取り組む必要があること、⑤世界の動きや潮流に対応することの5点が挙げられました。観光立国の実現に向け、これらの課題に関係者がいかに応えていくのかが今まさに問われているのだと思います。

2人のゲストによる講演の後、石崎祥之 経営学部教授(経営管理研究科兼任講師)をコーディネーターに、パネルディスカッションが行われ、参加者からの質問も交えて、講演では触れられなかった様々な論点についても議論されました。例えば、地方空港も含む国際航空路線の回復のためには、インバウンドだけでなく日本からのアウトバウンド旅行も重要となること(寒竹氏)、大阪・関西万博に向けてテーマに関係するインセンティブ旅行の誘致をどんどん仕掛けるともに、その後のMICE振興のためには今から3、4年先を睨んだ誘致行動が必要である(遠藤氏)など、関係者にとって実践的で示唆に富むディスカッションが展開されました。