RBS通信
2024.07.25
記事
科目等履修経験者によるRBS座談会 ~科目等履修生制度をMBA取得の第一歩に。そこで得た学びと新たな出会いとは。~
クロストーク メンバー紹介
三井 貴子 氏
三和化工紙株式会社代表取締役社長 / 経営管理専攻マネジメントプログラム修了生
岡田 和幸 氏
電子部品メーカー勤務 / 経営管理専攻マネジメントプログラム1回生
橋本 正明
立命館大学ビジネススクール(RBS) 教授
トピック
1.RBS入学後の学習がスムーズに。
橋本:本日はRBS(立命館大学ビジネススクール)で「科目等履修生制度」を活用されたことがある三井さんと岡田さんと一緒に、制度の魅力についてお話していきたいと思います。「科目等履修生制度」とは、1科目から履修することができ、所定の要件を満たすと単位を修得できる制度です。授業では、正規生と一緒に学ぶことになります。まず初めに、「科目等履修生制度」を利用しようと思ったきっかけを教えてください。
三井:RBS及び科目等履修生制度に興味を持ったきっかけは、20年以上代表取締役社長として会社経営に携わってきた今、理論を一から学びたいと思ったからです。理論を知った上で行動するのと闇雲にやるのとでは得られる結果が違いますし、部下への説得力も変わると考えました。
岡田:私の場合は経営戦略部への異動を機に、経営層とコミュニケーションを取る機会が増えたことがきっかけです。経営に関する会議に参加する機会が増え、経営層と対等に議論を行うためには経営の知識を養う必要があると感じ、MBAの取得を決意しました。RBSの存在を知り興味はあったのですが、仕事との両立は可能か、負担が大きいのではないかと不安な点がありWebで調べていたところ、科目等履修生制度を知りました。この制度で修得した単位は、正規課程入学後に修得済み単位として申請することができ、余裕をもった学習計画を立てることができます。そのため、まずは入学前に制度を活用して挑戦することにしました。実際、科目等履修生制度で6単位(3科目)修得したことで、入学後の負荷を減らし、無理なく仕事と学びを両立することができています。
三井:事前に単位が修得できるだけでなく、RBSの雰囲気が自分に合うのか確かめられるのも良いですよね。私は週に1度だけの通学でしたが、大学院の雰囲気に慣れておくことができたのは安心感につながりました。また、今までに関わることのなかった業種や職種の方と交流できる貴重な機会になったことも、RBSに通って良かったと感じるポイントです。新鮮な話が多く、多くの刺激をもらいました。
2.自身の課題に合わせた科目選びが可能。
橋本:科目等履修生制度で受講する科目はどのように決められましたか?
三井:すぐに役立つ授業を取りたいと考えていたので、当時経営課題として取り組み始めていた「コーチング」を受講しました。仕事をしていると、上司が部下に詰め寄ってしまい、委縮させてしまうという場面は度々起こると思います。今はパワハラにならない聞き方や、相手の潜在能力を引き出す力が求められていますよね。「コーチング」の授業は、そのためのマインドや表現力を養うのにとても役立ちました。特に、心理学的なアプローチを用いた課題が最も印象的でした。内容としては、相手を元気づけるメッセージを毎日1回送り合うというものです。ポジティブなやり取りを通して、気持ちにどのような変化が現れるのかを体験することが目的です。やはり明るい言葉をかけられると、気持ちは前向きになっていくものだと身をもって体験することで再認識することができました。この授業を経て会社の面談でも、ポジティブな言葉をかけることをより一層意識するようにしています。
岡田:私は経営に関する基礎知識を学ぶ必修科目を中心に、特に直近業務で活用できそうな科目を選択しました。「アカウンティング」の授業では、会社の経営成績や財政状態の考え方を学ぶことができます。異動した当初は、専門用語が分からず会話についていけませんでしたが、経営に関する数字の見方を知ることで、経営会議で議論されている意図を理解できるようになりました。また、経営に関する知識だけではなく、「論理的思考とプレゼンテーション」の授業では、相手に伝わるプレゼンテーションの方法を改めて学ぶことができました。授業では各々でプレゼン資料を作成し、発表を行います。発表後には一人ひとりに対して教授だけでなく受講生同士でも講評を行うため、客観的な意見をもらえることが魅力です。また、他の方のプレゼンテーションを「見る」ということも凄く勉強になりました。普段は同僚の発表資料しか見る機会がないため、アプローチ方法の多様さに驚きました。弊社では最低限の要素だけ残した、端的な資料を作るというスタイルが一般的なのですが、例えば、目的に合わせてビジュアル訴求を行うなどの新たなアプローチ方法を知ることができました。
三井:科目等履修生制度では、経営上の課題に合わせて科目を自由に選択できます。自身の体験と理論を照らし合わせながら学べるため、深く理解できる点が魅力です。自分が経営者としての取り組みを振り返り、正しかったことや勘違いしていたことを分析できるため、自信に繋がります。経営することへの意欲がさらに湧きました。
岡田:授業の雰囲気も魅力的だと思います。相互のコミュニケーションを重視し、ディスカッションによって進める授業形式はその最たるものです。学生側がとても発言しやすい環境で、その発言を膨らませて議論が発展していくところが面白かったです。大学時代に理系学部にいた時は、先生が淡々と説明する授業が多かったので、RBSの授業は非常に新鮮でしたね
橋本:RBSで学び始めて、社内での変化は何かありましたか?
岡田:社内で通学していることを知った人から声をかけていただく機会が増えました。過去にMBA取得された方からのアドバイスや、取得しようと悩んでいる若手からの相談など、業務で直接かかわることがない方とのコミュニケーションを取るきっかけづくりになっています。全社に広くコミュニケーションを取る必要がある部門に所属しているため、この人脈形成は多いに役立っています。
三井:私は自分自身がとても役立ったと感じたので、部下にも受講をすすめました。現在2人の部下が受講しています。また、「コーチング」で学んだことを職場でも積極的に取り入れており、一対一で対話をする1on1ミーティングを実施するようにしました。私から部下に、部下から若手へと社内で良い雰囲気の輪が広がっていると感じています。
3.多様な在学生との出会いで、新たな視点を得る。
橋本:お二人は仕事と両立しながら通われていると思うのですが、RBSで受講するメリットを教えてください。
岡田:異業種交流ができるところだと感じています。私は製造業に所属しているのですが、他にもサービス業など多様な業種の方が受講しています。RBSに通う前は、こんなにも多様な実績を持つ方と交流ができると想像していませんでした。クラスメイトからは、自分自身は経験したことのない話を聞くことができ、良い刺激をもらっています。
三井:異なる業種の方と交流ができることは刺激的ですよね。特に印象深い方が2名いらっしゃいます。一人目は、教育業界の方です。今の若い学生さんの学力や目標への向き合い方というテーマで意見を交わす機会があり、私が社長として従業員とどのように向き合うのかを考える上でも参考になりました。二人目は、コンサルティング業界の方です。私の取り組みに関心を持ち、熱心に話を聞いてくださいました。それだけでなく、コンサルティング業界という自分自身とは全く異なる世界で活躍されている方の視点からの意見をいただき、視野が広がりましたし、自分の業界のことも改めて見つめ直す機会になりました。
岡田:業種だけでなく、人事・マーケティング・営業等、様々な職種の方が在籍していることもRBSの魅力だと思います。会話をする中で気づいたことは、職種(=立場)が異なると、ものを見る視点や考え方が変わるということです。新しい視点を知ることで、さまざまな角度から検討する力が養われていると感じています。
橋本:授業以外にも、同級生とコミュニケーションをとる機会はあるのでしょうか?
岡田:グループワークのために授業時間外で集まって議論することもありますし、授業終わりに飲みに行くこともあります。飲み会もただ楽しいというだけでなく、授業では話しきれないような深い話題を、ゆっくり自由に交わすことができる有意義な時間なので、大切にしています。RBSに通う皆さんは意欲的な方が多いので、将来の展望ややりがいといった自分自身のモチベーションにも繋がるような話ができ、新鮮で興味深かったですね。
三井:各授業で学んだことや、それがどのように実務に直結しているのかといったことを、共有する場にもなっています。同じビジネススクールに通っているからこその話題が展開されるのが面白いです。
4.それぞれの立場に合った学びがある環境。
岡田:私自身、知識や技術をしっかりと身に付け、経営数値から課題を読み取れるようになり、業務が円滑に進むようになりました。また、自社内にもRBS修了生や、そのつながりがある人がおり、実務で連携することもできました。RBSでの学びや経験は、現在の業務に大いに役立っていると感じます。
橋本:RBSをどんな方におすすめしたいですか?
岡田:20代後半から30代前半の方におすすめです。社会人5年目から7年目くらいのタイミングで、自分のキャリアについての悩みや迷いが出てくる方は多いのではないでしょうか。その際、RBSで実務に直結する知識を付けたり、同じようにレベルアップを志す人との出会いで刺激を受けたりすることは、視野を拡げ、今後のキャリアを考える上でとても役立ちます。また、先ほどは異業種・異職種の方との交流のお話をさせていただきましたが、さまざまな年代の方と関われることも魅力の一つです。人生の先輩に、キャリアについて相談することもできました。興味はあるけど一歩が踏み出せないという方は、まずは科目等履修生制度でいくつか科目を受講してみることをおすすめしたいです。
三井:私は、経営に悩む経営者にぜひ挑戦していただきたいと思います。長年経営という課題に向き合っているのだから今更学ぶ意味はあるのかと思う方もいるかもしれません。ただやはり、理論と実践の両方を考慮しながら経営を考えることは重要です。経験で培ってきたものだけでなく、基礎となる理論をしっかりと持っておくことで、社員一人ひとりの納得感を得られる筋の通った指針や行動に繋がります。受講者の3割ほどが経営者という環境の中で、経営者同士で悩みを相談できるのも良かったですね。また、一般社員の方と交流できることも魅力です。やはり一般社員は社長に対して意見を言いづらいはずです。ただ、同級生であれば、対等な立場として遠慮がない議論を行うことができるため、社長である私に対しても率直な意見を伝えてくれます。客観的な意見をもらえることが少ないからこそ、貴重な存在だと感じています。経営者だけでなく、経営者を目指される方にもおすすめです。
岡田:科目等履修生制度は、もっと企業の人材育成の手段として活用していけば良いと思います。
三井:シンクタンクやコンサルティング会社が開催しているビジネスセミナーもありますが、RBSでは深く実践的に学ぶことができるので、ぜひ取り入れてほしいです。
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