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RBS通信

2023.08.08

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<MBAクロストーク>企業経営者×ビジネススクール教員 ~企業が求める人材育成とMBAへの期待について~

集合写真

クロストーク メンバー紹介

井ノ上大輔氏

井ノ上 大輔 氏

NISSHA株式会社取締役・専務執行役員 / RBS修了生(校友会RIMO会長)

肥塚浩教授

肥塚 浩 教授

立命館大学ビジネススクール(RBS)研究科長

個人の競争力、ビジネススキルが
企業の競争力につながる未来へ

RBSに入学したきっかけは「企業の変革意識」と「学びの必要性」

井ノ上:私が都市銀行から転職し、NISSHAに入社したのは2006年です。当時、NISSHAは中堅の上場企業で、その頃の副社長(現社長)と二人で経営企画部を立ち上げ中期経営計画を作成。グローバル展開を視野に入れつつ、企業として当然あるべきIRを始め、会社の仕組みそのものを構築する必要がありました。個人としても企業としても、変革を進める上で、新たな知識が必要なフェーズだったのです。
自分の知識不足と体系的に学び直す必要性を感じていたところ、会社で社員への学習支援の仕組み自体を作ろうという話になり、新しく発足した企業派遣制度を利用し、RBS(立命館大学ビジネススクール)へ入学しました。
RBSの教授陣は個性豊かで、在籍されている学生も多種多様です。経営者をはじめ、経営企画・経営支援に携わる方、独立してビジネスをする方、引退された方まで、バックグラウンドもさまざま。そのため、新たな視点や自分にない考え方などを知る機会を得ました。実際に入学してみると、当初学びたかった科目以外も大変面白い内容でした。

肥塚:RBSは開校当初から、企業の現場のマネジャーはもちろんのこと、経営者をはじめ井ノ上さんのような経営戦略立案や経営支援に関わる方など多様な方に来てほしいという思いがありました。
本来ビジネス社会というのは、さまざまな個性、職種の方で構成されています。ビジネスパーソン中心のスクールという既存の体裁を保ちつつも、毎年必ず2割程、経営者や起業されている方に入学いただいており、嬉しい限りです。関西のビジネススクールの中では特に、さまざまな経営視点からの学びや発見がある場所だと思います。

クロストーク風景

井ノ上:RBSに入学される方の多くが、経営全般、経営視点を学びに来られるのも納得です。若いうちは商品開発に夢中になる、お客様と接することに喜びを感じる。そんな与えられた仕事に対しどう結果を出すかに集中するのも大事だと思います。ただ、立場が変わると課題意識も変わってきます。会社経営というのは、すべてつながっていますから。ものづくりを旨とする会社であっても、品質の良いものをつくりさえすればうまくいく、というわけではありません。会社の仕組み、体制が整って初めて良いものができ、いい人材も育つ。会社経営というのは商品開発から人事、設計などあらゆる業務、システムにまでつながっています。そういった意味では、職種や立場、また会社の大小に関わらず、ビジネススクールで学ぶことは非常に有益ですし、企業を効率よく運営、維持するためにそうした経営視点をもつ社員を増やすことは大きなメリットだと考えます。
私が多くのビジネススクールの中からRBSを選んだ理由としては通いやすさ、立地面もありますが、何よりビジネスの現場における実務経験が豊富な教授が非常に多かったという点も挙げられます。私が所属するゼミの先生はもともとソニーにいらっしゃった方ですし、証券会社、メーカーで実務経験された教授もおられました。当時、他のビジネススクールの説明会にも参加しましたが、この特徴は何より魅力でした。
ビジネススクールを選ぶ上で、教授陣のご経歴の魅力という点は非常に大きかったです。実践的かつ理論的に学んだ方から教わった知識というのは、さまざまな現場で活用しやすいと思います。その点は今も変わりませんか。

肥塚:大学が運営するビジネススクールの中で、RBSに所属する教員のうち実務家教員比率は今でも変わらず高いです。そこはRBSが自信をもってお勧めする特徴の一つです。

井ノ上:私は、大学の学部生時代は学びにあまり手ごたえが感じられないまま卒業してしまいました。一方、社会に出て改めて通ったRBSで「習得した知識の応用、実践」をしなければならない、という強い目的意識をもって学んだ意義は大きかったです。知識をすぐに、実際の自身の仕事に落としこんで検討し、課題解決をはかることができました。実務経験の豊富な教授陣から実践知を学び、他方で研究者教員から得たアカデミックな視点を今の仕事や業務に自分なりに取り入れて、生かせる。この点で、どんな業種、職種の方にもMBAを取得するメリットがあるのではないでしょうか。

肥塚:在籍される社会人学生の方の多くが、自分の関わる仕事の実務的なテーマを設定し学んでいます。自分が「今」抱えている問題、新規事業計画や所属する業界の分析は、非常に実践的です。ビジネススクールでの学びは、現実の仕事の課題解決に直結しますし、アカデミックな視点で課題に取り組むからこそ、入学前は分からなかった解決法が見つかることも少なくありません。
RBSのもう一つの特徴として、日曜日も授業を行っている点があります。週末の土曜日、日曜日に集中して履修できるというのも選ばれる理由の一つです。立地の利便性も重要ですが、社会人学生の皆さんは忙しいですから効率よく学ぶことを望まれるのも当然です。

クロストーク風景
国際的にも通用する「ビジネスにおける共通言語」、
時代に翻弄されないための普遍的な判断軸を手に入れる強み

井ノ上:海外の企業と取引や買収、合併などの交渉を行う際に、RBSで学んだMBA水準の知識、マーケティングや経営戦略のいろんなフレームワークは、海外の方と共有可能な知識として役に立っています。企業同士の信頼や理解を深める上でも非常に重要となる共通の価値基準です。

肥塚:MBA取得を目指して学ぶということは、それが英語でも中国語でも言語を問わず、世界共通認識として、同じ概念を学ぶことになります。RBSで基礎科目やコア科目と呼んでいる科目は、世界各国どこのビジネススクールでも変わらず学ぶ内容です。
だからこそMBAの知識を身に付けることで、グローバル市場で世界と対等に仕事ができるわけです。海外で活躍される方の多くが、ビジネススキルとしてMBAを取得するのはそういった理由からです。
日本企業のグローバル化を進める上で、MBA取得者の数は足りているとはいえない状況です。日本のビジネスが海外から取り残されないよう、今後さらにMBAを活用すべきですし、国をあげてグローバルに活躍できる人材の育成に取り組むべきだと思います。

井ノ上:私も、MBAに期待されているのは、グローバルに活躍できる人材の育成であると思います。国際競争力を高めるために、企業も進化していくはずなので、そこに照準を合わせたプログラムを提供していただけると企業としても心強いです。
企業が海外で事業展開する上で必要な知識が得られることも利点ですが、私が考えるビジネススクールの意義としてもう一つ挙げたいのは、RBSで学ぶ知識は非常に普遍的だという点です。ベースとなる理論は時代の変化にあっても変わらず、残った「真理」として、長期間にわたって、脈々と受け継がれ提唱されているものです。いろんな会社の成功や失敗の積み重ねから導き出された普遍的な道理というのは、「今、流行りだから」「どの業界も皆やっているから」といった一時代の価値基準、浮き沈みとはまったく異なるものだと思います。より良い経営を志す人にとって、RBSで学ぶことで、自身の経験や勘を頼るよりも、格段に成功率を上げてくれるはずです。

肥塚:現実のビジネスで通用しない理論や枠組みというのは、淘汰されていきます。今後、変化の激しい時代において、ビジネスの本質、本流を見抜く目を養うことは大切だと思います。今の流行りとして、企業のDXが叫ばれていますが、これも言葉が先行してしまっていると感じます。日本のデジタル化は確かに遅れています。ただ、流行に乗ってデジタル化さえすれば組織変革になるわけではなく、どんな時代でも常に組織の変革が必要だという認識に改める必要があります。一つの流行り言葉に翻弄されず、しっかりと長期の経営戦略を考える上で、MBAの取得は有効だと思います。

井ノ上:課題解決の手段としてDXを使う場合はいいのですが、「みんながやっているから、DXさえすればいい」というのは違うと私も感じます。手段と目的を混同しないよう、RBSでの学びを通して物事の本質を見る目を養っておくのは非常に大切だと思います。

クロストーク風景
働き方の多様化。個人も企業も生き残り戦略の一つとして、MBA取得を選択する時代へ

肥塚:今後、ますます少子高齢化が進み、人材の流動性を考える上でも、日本国内で日本人だけで企業が戦い続けるというのは無理があります。新卒一括採用をベースにしたメンバーシップ型の雇用のあり方自体、今の時代にマッチしておらず、変革を迫られていると感じます。
海外企業のほとんどはジョブ型雇用が当然ですし、一部、日本の大企業も変わりつつあります。そのように企業の雇用形態が変わると、ビジネススクールの重要性も理解されるのではないかと思っています。

井ノ上:NISSHAでは変革を進めていますが、まだ多くの企業が新卒の学生を一括採用し、年齢が上がれば給料も上がる年功序列の給与体系を採用しています。メンバーシップ型雇用のままでは、MBAで学んだことを活用するのは難しい面もあると思いますが、ジョブ型を採用する企業がこれから増えることで、状況は変わってくると思います。
転職も当たり前になってきましたし、どんな時代にあっても個人のスキルアップや新しい知識の習得は必要です。現状のスキルだけでは、長期のキャリアプランが成り立たないという危機感が、若い方ほどあるのは当然です。日本企業がグローバルに展開し、国際競争力を高めるためにも、個人の長期的なキャリア育成の視点から見ても、学び直しは必然になってくると思います。私自身、冒頭で申し上げたとおり、既存の知識では立ちゆかない、新たな知識が必要な仕事への課題意識からRBSの門を叩きました。社会の変化が激しく、かつての常識を転換させ、変革が迫られている中、ビジネススクールの存在意義は、ますます強く、大きくなってくるはずです。
社員には学びの重要性を常日頃から伝え、企業としてはグローバルに活躍し将来的に経営を担っていくことを見据えた人材を育成するため、それらの分野が学べるビジネススクールに今後も社員を派遣する予定です。

肥塚:イギリスのビジネススクールで教授を務める、リンダ・グラットン氏らは、世界的なベストセラー『ライフ・シフト』の中で、今後は「学ぶ、働く、引退する」という3つのステージを一つの方向で進むのではなく、自在に行き来し、あるいは何度も繰り返し、学びながら働くといった選択肢も入れるべきだと述べています。高齢化が進んだ今、多様なライフステージに合わせて冒険者のように次々と新しく開拓して進む人、あるいは起業する人、いろんな道を同時並行で進む人、自在に働き方を選ぶことが必要な時代が来ています。井ノ上さんもNISSHAに勤めつつRBSで学ばれていましたし、今後はこういった多様な働き方、学び方が選べる組織体制を持つ企業が生き残るのではないでしょうか。
今ここにないビジネスを創造しようとする方にこそ、RBSは責任を持って、実践的教育を提供したいと思います。自分の課題と向き合い新しい事業を立ち上げる。新しい商品を開発する。何か新しいコト・モノを社会に提供したい、変化をもたらしたい、というチャレンジ精神を持つ方に、ぜひRBSに入学してほしいです。
「企業家(起業家)精神」ある方に、RBSで学んだことを生かして存分に社会でご活躍いただくこと以上に嬉しいことはありません。

取材日:2023年6月4日