
2012年 卒業
宝塚歌劇と出会った高2の時、
この道に進もうと決断できたのは
立命館高校で学んでいたおかげです。


華 優希 氏
HANA Yuki
俳優
Profile
2012年立命館高等学校卒業。2014年宝塚歌劇団入団。2015年組まわりを経て花組に配属、『はいからさんが通る』、『ポーの一族』などに出演。2019年『恋スルARENA』で花組トップ娘役に就任。2021年『アウグストゥス-尊厳ある者-』『Cool Beast!!』で退団。退団後は、舞台『千と千尋の神隠し』『キングダム』等に出演、テレビドラマ、ラジオドラマ等にも活躍の幅を広げている。
最後のコンクールを前に
吹奏楽部を退部
メンバーが応援してくれたことに
今も感謝

宝塚歌劇と出会ったのは高校 2年生の時でした。何の迷いもなく立命館大学に進学するつもりで、どの学部にしようかと考えていた私が、初めての宝塚観劇で大きな衝撃を受け、こんなにも素敵な世界があるんだ、この世界の作り手側になりたい!と強く思い、宝塚音楽学校の受験を決意しました。
とても大きな決断でしたが、それができたのは、立命館高校で学んでいたおかげだったと思います。私はIRプログラムで、高校在学中に立命館大学国際関係学部の授業を受けたり、大学生からお話を聞いたり、さまざまな職業についてプレゼンテーションをしたりする経験を通して、自分の将来を現実的に考える機会がとてもたくさんありました。だからこそ、宝塚と出会った時、この道に進みたいと思う自分のことを改めてクリアに考えた上で、決断できたのだと思います。
芸事の経験が全くなかったので、レッスンを受けるため、所属していた吹奏楽部を最後のコンクール前にやめなければならなかったのはつらかったです。でも、怒られることを承知で自分の決意を話すと、メンバーは受験を応援してくれました。本当に嬉しく、心強く、今でもすごく感謝しています。当時のメンバーとのつながりはずっと続いています。教師や銀行員など、私の知らない世界の話を聞かせてもらえるのがとても楽しいですし、勉強にもなっています。
娘役トップとして
コロナ禍での退団公演
大きく思いのこもった拍手は
生涯忘れられない
宝塚音楽学校の授業の中で一番楽しかったのがお芝居でした。心を使って芸事をすることの楽しさを知りましたし、歌も踊りもお芝居につながっていると感じました。宝塚歌劇団に入団してからは、すべての瞬間が印象深い思い出です。トップ娘役就任のお話をいただいた時、最初は信じられませんでした。私が?と恐縮する気持ちもありながら、目の前のことをがむしゃらにクリアしていった印象です。ちょうどコロナ禍で、宝塚だけでなく、多くのエンターテインメントが影響を受け、私たちも、お客様も、先が見えず大変な時期でした。
私の退団公演も、開幕後に緊急事態宣言が出て、千秋楽の無観客公演以外はすべて中止になってしまいました。でも、有観客で行われた最後の公演は生涯忘れられない思い出です。ショーの中で、トップスターさんとデュエットダンスを踊った後、ラストだからとセンターを譲っていただき、一人で最後のご挨拶をした時のこと。お客様から、もう信じられないくらいの大きな拍手をいただいたんです。ただ大きいだけでなく、一つ一つの音から、応援してくださった方々のさまざまな思いや声が聴こえてくるような拍手でした。私にはもったいないと思うほどの、その時にしか見ることのできない景色でした。
退団後は、俳優として舞台や映像作品に出演させていただいています。昨年、立命館中高の皆さんが、私も出演していた舞台『千と千尋の神隠し』の大阪公演を観劇してくださいました。残念ながら私の出演回ではなかったのですが、劇場貸切で本物を見せるなんてすごい、自分も経験したかったと、キャストの間で話題でした。いつか私の出演公演をご覧いただけたらすごく嬉しいです。


中高時代の思い出
中高時代は決して目立つタイプではなく、人前に出るのは苦手でした。高校3年の文化祭のクラス演劇でもキャストにはならずに小道具を担当していたと思います。でも宝塚受験に向けてレッスンを積んでいた時だったので、ちょっと張り切って男子に歌を教えたりしていました。「意外と大きな声が出せるんだね」と言われ、すごく恥ずかしかった思い出があります。実は今でも目立つことはあまり得意ではありません。それが私の性格なのだと思います。でもお芝居でなら、役の力を借りてどんな人にでもなれるし、普段の私ならできないようなこと、大声で叫んだり、怒ったり、どんなことでもできちゃうんです。お芝居と出会ったことで、違う自分と出会うことができました。
感謝を忘れず、
自分の価値観をしっかり持って
これからも演じ続けていきたい

中高時代は深草の校舎で過ごしました。長い階段と、大好きな言葉「理想は高く 姿勢を低く、大地に足をふんまえて 一歩づつ前へ 前へと進もう」の銘板が思い出されます。学校では「自分で選択する」機会が多くありました。自分自身で考え、行動して、選択するという思考パターンを身につけられたように思います。好きなことを深く学べる選択授業も楽しみでした。私は古典の授業を通して、いっそう日本文学が好きになりましたし、自分では読まない時代の小説について学んだり、映像資料を観たりして興味を広げられたことが、今、台本を読んだり役を深めていったりする時にとても役立っています。
俳優の仕事は、一人では絶対に成り立ちません。支えてもらうこと、応援してもらうことを当たり前と思わず、必要としてくださるお客様や視聴者、裏で支えてくださっているスタッフさんへの感謝を絶対忘れないようにしたいと思います。そして、何をするにも必ず相手の方と心を通わせることなど、自分の大切にしている価値観をしっかり持ち続けたいと思います。
私は演じることがとても好きなので、これからもお芝居を続けていきたいですし、私が演じることによって、私が初めて宝塚を見たときに感じた、エンターテイメントの素晴らしさ、生きることへの希望を感じてもらえるように努力を重ねたいと思います。
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