2016年 卒業

一人ひとりのやりたいことを尊重し、
サポートしてもらえる環境があったから、
競技を続けながら充実した毎日を送れました。

大本 里佳

OMOTO Rika

全日本空輸株式会社
東京2020オリンピック競泳女子400mリレー出場

Profile

2016年立命館高校卒業、中央大学法学部卒業。1歳からベビースイミングに通い始め、9歳よりジュニアオリンピックに出場。200m個人メドレーで日本学童新記録を樹立後、中学1年生から日本選手権に出場、17歳で日本代表デビュー。けがやスランプに悩みながらも、2021年に夢だった東京五輪でメドレーリレー出場。2022年世界選手権200m個人メドレーで4位入賞、同年11月引退。現在、全日本空輸株式会社にて採用を担当。休日は水泳の普及活動にも携わり全国各地にて講演や水泳教室を行っている。

01

五輪出場、世界選手権
入賞後、悔いなく現役引退
航空会社の社員として
新卒採用を担当

幼いころから水泳選手として活動し、数々の世界大会に出場してきましたが、夢だった東京五輪に出場できたことはやはり特別な経験でした。言語も育った環境も異なり、国によって競技レベルにも大きな差がある世界中の選手。困難な状況の中にある難民選手団も含めて、五輪というただ一点で集まり、言語や文化の壁を越えてつながる…その瞬間に立ち合えたのは何にも代えがたいことでした。

その後、一時期は引退も考えましたが、世界大会の個人種目でのメダルを目指し、再び挑戦を決意。2022年の世界選手権では個人メドレーで入賞し、悔いなく現役を引退しました。

大学卒業後、全日本空輸株式会社に就職し、社員アスリートとして競技を続けていましたが、引退後は人事部で新卒の採用を担当しています。

引退した当初は180度変化した日常に慣れることが大変でした。そして、採用の仕事では組織全体の仕組みや特定の分野の知識、採用方針、キャリアパスなど、多くのことを学ぶ必要があり、ゼロからのスタートにとても苦労しました。しかし、エネルギーに満ち、多様な経験を持つ学生のみなさんとお話をすることはとても楽しく、誰かの人生の岐路に寄り添わせていただくことは貴重な経験だなと感じながら日々仕事をしています。

引退を前に、次に何を目指すか悩んだ時期もありました。オリンピアンの中にはタレント活動をする人やフリーランスで活動する人も多い一方で、会社員として働く人は少数派でした。しかし、競技以外の経験がほとんどなかった私にとって、新たな挑戦として企業でのキャリアを選び、今は会社の仕事に全力で向き合っています。

02

水泳の普及活動で
全国の子どもたちのもとへ
キラキラした目を見ると
元気になれる

会社の仕事とは別に、個人の仕事として、休日に全国各地の水泳教室を訪れたり、大会のプレゼンターを務めたりと、水泳の普及活動に携わっています。主に子どもたちと接する機会が多く、レベルを問わず水泳を楽しむ姿を見るだけでも嬉しくなります。彼らの輝く目を見ていると私も元気をもらえるのです。私も、子どものころ憧れのオリンピアンが話をしてくれたことが強く印象に残っています。今、自分がその立場になっていることを考えると感慨深く、子どもたちにとって同じような存在になれていたら嬉しいです。

トップアスリートになれるのはほんの一握り。高い目標を持つことは素晴らしいことです。ただ、結果だけに捉われるのではなく、その目標に向かって努力するプロセスを大切にしてほしい。そして、その先に結果がついてくればなお良い、という話をよくしています。私自身の歩みが唯一の正解ではなく、人それぞれの生き方があると思っています。そのため、あまり自分の経験を前面に出すのではなく、相手の話にしっかり耳を傾けることを大切にしています。

中高時代の思い出

MEMORIES of Ritsumeikan

中高の友人は本当に素敵な人ばかり。今でもとても仲がいいです。同じ時間を過ごし、一緒にいてすごく心地がいい友人に出会えたのは人生の財産。京都に帰れば必ず連絡しますし、東京にいる友人と食事をすることもあります。海外の仕事をしている人が多いので、互いの海外経験をシェアすることもありますよ。最近、友人の結婚式に出席する機会が増え、中高時代の同級生と再会することがあります。中高の先生がスペシャルムービーに登場するなど、卒業生を大切にする姿に感動します。昨年、選手時代によく訪れたオーストラリアのケアンズで私が挙式をした時も、中高の友人が出席してくれて、とても嬉しかったです。

体育祭での最高の仲間と最高の瞬間!
友達の披露宴に参加
高校時代の友達といつものランチ
03

先生方と友人たちの
温かいサポートがあったから
充実した学校生活を送り、
成長することもできた

2016年高校最終登校日(GLメンバー)

中高時代の思い出は語りつくせません。当時は国内外での試合や合宿が多く、学校に通えない時期が何度もありました。立命館中高は授業のレベルが高く、たった1回の欠席だけでも大きな遅れにつながる環境でしたが、友人たちがノートをまとめてくれたり、先生方が個別にフォローしてくださったりと、本当に多くの方に支えていただきました。あの温かいサポートがなければ、卒業できなかったと思います。

中学は総合コース、高校はGLコースでした。海外遠征の機会が多かったこともあり、国際的な学びが競技やセカンドキャリアにもプラスになると考え、また、多様なコースの人と交流できる環境に魅力を感じてチャレンジしました。英語の授業が多いことが当たり前の感覚になっていたため、東京の大学に進学した後、英語に触れる機会が減ったことに逆にカルチャーショックを受けたほどです。GLコースには留学経験者や、短期プログラムで海外に行く人、自主的に語学を学ぶ人も多く、日々刺激を受けながら「私も頑張らなきゃ」と思える環境でした。

「立命館中高の良さは?」と聞かれたら、「いいところしかない!」と答えます。何かを「こうしなさい」と押しつけることなく、一人ひとりのやりたいことを尊重し、全力でサポートしていただける環境がありました。そのおかげで、競技と勉強を両立しながら充実した毎日を送ることができました。私にとって、この6年間は、最も成長し、人生に大きな影響を与えていただいた時間だったと思います。

立命館中学校・高等学校を愛する
みなさまへ

この度は本当におめでとうございます。高校3年生の時に110周年を迎えてから、もう10年が経つのですね。時の流れの早さを実感します。今の生徒の皆さんも、勉強や文化活動、スポーツなど、自分が好きなことに一生懸命取り組み、充実した日々を過ごしてください。私にとってそれが水泳でした。練習は決して楽なものではありませんでしたが、競技を通じて世界中の素晴らしい仲間やコーチと出会い、そこでしか得られない経験を積めることが大きな支えになりました。まだ「これだ」と思えるものが見つかっていない人も、焦る必要はありません。立命館中高には、一人ひとりの挑戦を温かく見守り、支えてくれる環境があります。周囲の方を頼りながら、自分らしく学校生活を楽しんでください。きっと、いつか素晴らしい経験につながる何かと出会えるはずです。「理想は高く、姿勢は低く」。ぜひ立命館の素晴らしい環境を最大限活用し、学校生活を充実させてください。地道な努力と挑戦の積み重ねが、きっと皆さんの未来を輝かせてくれるはずです。

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