研究概要

研究概要

医療薬学研究室2では、大学病院での薬剤師経験をもつ教員が研究指導にあたります。臨床経験に基づき、実臨床における薬物治療の問題点や課題を解決することを目的とした基盤研究を行っています。当研究室では、実験室で行う基礎研究と医療機関で収集した患者さんのリアルワールドデータを用いた臨床研究を同時並行で進めており、より有効かつ安全な薬物治療の実現を目指しています。

現在、実施している主な研究課題は以下の通りです。

1. 血中薬物濃度・薬効・副作用解析や遺伝子解析に基づく個別化投与設計法の構築

(共同研究機関: 滋賀医科大学附属病院、京都大学医学部附属病院、医学研究所 北野病院など)

私達は麻酔薬、鎮痛薬、免疫調整薬など薬効や副作用発現の個人差が大きい薬物を対象に、患者さんから得られた血中薬物濃度や臨床検査値、薬効・薬物動態関連遺伝子情報を用いて、薬物動態/薬力学的解析 (PK/PD解析) や薬効・薬物動態関連遺伝子解析 (PGx解析) により体内動態や薬効・副作用の変動要因を解明し、薬物治療の個別化に活かすことを目指しています。


血中薬物濃度・薬効・副作用解析や遺伝子解析に基づく個別化投与設計法の構築

2. 統合的アプローチを用いたドラッグリポジショニング研究

(共同研究機関: 大阪大学医学部附属病院など)

臨床現場において、すでに使用されている医薬品を対象に、新たな薬効や未知の相互作用を明らかにすることを目的としています。臨床データの解析から細胞、モデル動物までさまざまなアプローチを駆使して、薬剤性難聴や肝障害などの新規治療薬の開発を目指しています。


統合的アプローチを用いたドラッグリポジショニング研究

3. 細胞を用いた分子生物学的研究によるメカニズムの解明

妊娠中の薬物曝露は、さまざまな胎児への影響を及ぼします。当研究室では、ヒトiPS細胞から誘導した神経・神経幹細胞を用いて、抗てんかん薬などの薬物による神経発生毒性に関する研究に取り組んでいます。 基礎研究により胎児への薬物曝露の影響およびメカニズムを明らかにし、妊娠中における薬物治療の適正使用を目指しています。



分子生物学的研究