立命館小学校

屏風絵の前で

前のエントリーから随分間があいてしまいました。この間も、ブログに書きたい出来事はたくさんありましたが、目の前の業務に流され、あっという間に3ヶ月もたってしまいました。気が付けば季節もすっかり冬です。(毎年、学校は秋が一番忙しいと感じるのですが、他の学校関係者のみなさんはいかがでしょうか?)

ということで、なんとかもう一度ブログのペースを戻すべく、最近の特別な出来事を書いておこうと思います。12月13日・14日の二日間、年末を飾るにふさわしい、とても贅沢な学びの時間がありました。

真っ暗な体育館でパッと浮かび上がったのは3つの屏風。集まった6年生から「おおー」という低い声が聞こえてきます。
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これは、京都文化協会、CANON綴プロジェクト(https://global.canon/ja/tsuzuri/)と、アメリカワシントンDCにあるフリーア美術館の協力を得て実現した、「江戸時代にタイムスリップ!日本の屏風絵を体感しよう」という図工科の取り組みです。立命館小学校では6年次に日本画について学んでおり、その一環としてこのプロジェクトとコラボするご縁をいただいたものです。

今回お借りしてきた屏風絵は、いずれも俵屋宗達作「風神雷神図屏風」「雲龍図屏風」「松島図屏風」三点のレプリカです。高い技術をもって、非常に精巧に製作されています。本物はこんな近くで見ることはできませんが、今回はこの成功なレプリカを、間近で、隅々まで、微に入り細に入り鑑賞することができました。
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屏風絵の前で、みんな好きな場所を陣取って、座り込んで眺めています。そして、気づいたことを書き留めていきました。

今回もう一つ特別なことがありました。それは、俵屋宗達の作品をはじめ、日本の屏風絵の専門家であるフランク・フェルテンズさんから鑑賞のポイントを解説してもらったり、直接質問をさせてもらったりできたことです。
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フェルテンズさんはワシントンDCにあるフリーア美術館の学芸員で、今回は現地からオンラインで参加してくれました。屏風絵に描かれていることの背景や詳細を具体的に教えてもらったり、「風神雷神の表情に注目してみてください」「白黒に見える雲龍図に、どんな色彩が隠れているか見つけてみてください」といった観点をいただいただけでなく、子どもたちのさまざまな疑問、意外な観点、面白い問いだての全てを肯定的に受け止めてくださり、芸術鑑賞にひとつの正解はないこと、自分の感性を大切にすることを態度をもって示してくださいました。

このような鑑賞の経験によって、もともと子どもたちがもっている多様な感性が刺激され、引き出されているように見えました。高い芸術性と技術に触れ、言葉にしきれない刺激がたくさんあったようです。そういう経験の積み重ねの中で、個性的な感性のあり方が肯定されるとともに、自己表現の力が育っていくとよいなあと感じました。

校長 堀江未来