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ジェンダー心理学選択肢は1つじゃない! 進路や恋愛に悩む女子へのアドバイス

2022.7.20

社会人女性の悩みの一つである「性別職域分離」は、社会に出る前の学生期間であれば回避しやすいと知っていましたか? ポイントは視野を広く持つこと。「ジェンダー」の専門家である髙松先生が、統計学と心理学の観点から高校生にアドバイスします。

今回の案内人
髙松里江先生
  • 「男だから」「女だから」。こんな声に違和感を持つ人は、いますぐ「ジェンダー」で検索してみて!
  • ジェンダーにまつわる「性別職域分離」の問題は、高校生にも関係アリ。
  • パートナーとの関係に悩んでいる人へのアドバイスも!

「性別職域分離」は大人だけの問題じゃない! 学生のうちにできる対策は?

まずは「医者」をイメージしてみてください。頭に浮かんだのは、白衣、聴診器などの医療アイテム、そして…男性ではありませんでしたか?

男性が行う仕事、女性が行う仕事、というように、性別によって行う仕事の内容が異なることを「性別職域分離」と言います。でも、「男だからこの仕事はできない」「女だからこの仕事はできない」といった分類に、違和感を抱く人はいるのではないでしょうか。その一人である髙松先生は、性別職域分離は、高校生にも関係があると言います。

 「大人の問題のように感じられますが、高校生も決して他人事ではありません。この問題の根底にあるのは学生時代の職業選択、さらにその前の大学選び、さらにその前の文理選択……というように、どんどんさかのぼることができるんです」(髙松先生)

こう聞くと、今この瞬間から当事者意識が芽生えてきます。では、どうしたら性別職域分離問題を回避することができるのでしょうか?

 「学生のうちに、いろんな挑戦をすること、選択肢を狭めないことを意識してみて。例えば数学が苦手だからと安易に文系を選択しない、家から通えるという理由だけで近くの学校を選ばない…。高校生に文理を選択させない、つまり学校側が強制的に全教科を勉強させる環境を作るのもいいでしょう」(髙松先生)

「苦手」の声が多い教科の一つが数学。特に女子は苦手意識のある人が多いですが、実は能力的に見ると男女差はあまりないそう。ということはその苦手意識、もしかしたら思い込みなのかも?

また、髙松先生の研究により、親や教師の言葉や受験への態度が、中高生の進路に大きく影響していることがわかってきています。難しいかもしれませんが、進路選択の際は「これは本当に自分が選んだ道なのかな?」「担任の先生には文系と言われたけど、本当にそうなのかな?」と立ち止まって考えることも大切です。

 「統計的に見ると、男子に比べて女子は自分に自信を持ちにくい、という結果が出ています。自分で意識的に挑戦し、自信をつけること、そして大人がその挑戦を見守る環境が中高生には必要です」(髙松先生)

幸福度を上げるためには? 統計学の観点からアドバイス

髙松先生からのアドバイスで、気になるものをもう一つ。進路と同じくらい悩みやすいテーマ、“パートナーとの関係”についての話題です。

髙松先生は橘木京都大学名誉教授と共同で、「働く女性の幸福度」を分析。結果、幸せな夫婦の条件は「会話をしっかりしていること」だと判明しました。これは夫婦にかぎらず、未婚のカップルにも言えることなのだそう。

 「女性、特に女子生徒はつい自分の意見を我慢してしまいがち。表面上はそれでうまくいくかもしれませんが、将来的にも、自分のメンタルのためにもよくありません。きちんと意見を言う、パートナーに『こうしてほしい』と交渉することが大切です。ぜひたくさん会話をして、幸福度を上げていきましょう」(髙松先生)

これらの研究は、「統計分析」を用いて行います。心理学でも「心理学統計法」という分野があるほど、様々な領域と密接に関わっている手法です。

 「男女どちらのアナウンサーの声が注意を集めるか、授業中に男女で発言する回数に違いはあるかなど、統計分析はジェンダー心理学でも大活躍。手法を活かせば、マーケティングの仕事や、近年話題のデータサイエンティストといった将来的なキャリアにつながります」(髙松先生)

最近は優秀な統計ソフトウェアがあるので、興味さえあれば文系理系かかわらず誰でも簡単にできるとか。「理系科目は苦手だし…」と自ら選択肢を狭めているそこのあなた! 新たな「挑戦」の一歩として、チャレンジしてはいかがでしょうか?

ようこそ、総合心理学・人間科学の世界へ!

ジェンダー心理学は、ジェンダーという幅広い枠組みの中での一部分。このように、心理学も統計学も、いろんな学問分野や領域と組み合わせることでさまざまな研究・分析が可能です。そういう意味で立命館大学の総合心理学部は、単なる「心理学」だけではなく、多様な組み合わせの学びができるので、「挑戦」にぴったりの環境だと言えますね。