HAYASHI Yugo

林 勇吾

林 勇吾
所属学部
総合心理学部
職位
教授
専門
認知科学、人工知能、ヒューマンインタフェース・インタラクション
主な担当科目
「認知科学」
おすすめの書籍
誰のためのデザイン? 増補・改訂版 ―認知科学者のデザイン原論Donald A. Norman (著) 野島久雄ら (訳) 新曜社 人はなぜコンピュータを人間として扱うのかー「メディアの等式」の心理学Reeves, Byron and Clifford Nass (著) 細馬 宏通 (訳) 翔泳社

現在の研究テーマ(または専門分野)について教えてください。

認知科学や人工知能などを扱う「情報科学」と心理学や社会学などを扱う「社会科学」を融合した学際的研究を行っております。

トピックスとしては、人間/人間、人間/コンピュータプログラムとの社会的インタラクションを研究しています。
具体的には、心理実験を通じて、人間と人間の様々なやり取りを形式的に分析・理解し、そこで得られた知見をもとに、対話システム(擬人化エージェントやロボット)の開発を行います。

また、これらのシステムの応用として、人間と人工知能がインタラクションを行う場面を設定し、人間がどのようにして外界とコミュニケーションを行うのかも検討しています。

例えば、複数の人工知能プログラムと対話する場面を作り出すことで、人間が社会集団で感じる集団圧力と同じ効果を生み出すことも実証的に検討してきました。
この手法を用いることで、これまで社会心理学の研究で難しかった、対話相手に関する様々な要因(対話相手の数や発言内容など)を統制して、様々な実験を行うことが可能となりました。(日本認知科学会、野島賞

現在も様々な社会ネットワーク内での集団のコミュニケーションの分析や人間と人工知能とのインタラクションの可能性の追求したり、人工知能を教育場面で応用する研究を行ったり、多様な研究を展開中です。

どんな学生時代を送っていましたか。

学生時代は、一日中、研究室に籠ってコンピュータに向かってプログラミングをしたり、実験に没頭しておりました。

上記でも述べたように、人間のように応答する人工知能のプログラムの開発するために、人間の発話や行動を分析し、それをコンピュータでも表現できるように試行錯誤しながら、研究に数多くの時間を費やしました。
気がついたら、朝まで研究室でプログラムを書いていたことも何度もありましたが、やはり人間のように動くモノを作ることは、非常に面白かったですね。

そして、このような人工知能のプログラムの開発にのめり込む中で、心理学や社会学の知見だけでは、知ることの出来ない人間の奥深さも色々と学ぶことができました。

例えば、何故、人間は他者と会話するときに、空気を読んだり、気を配ったりすることができるのに、コンピュータにそれを実現させるのが限りなく難しいのか。

このように、全体を通してみてみると、学生時代は研究がほとんどでしたが、学部生時代には、海外でバックパッカーをしたり、スポーツはラグビーをしていました。

詳しくは、またお会いしたときにでも!

現在の専門分野を志した理由・きっかけを教えてください。

先生は、帰国子女で海外(アメリカ)に長く住んでいました。そのこともあって、様々な社会やコンテキストの中での人と人とのコミュニケーションに興味がありました。人間とは何か、そして社会の中でどのように振舞うのか、新しい環境やシステムに対して人はどのように適応していくのか、そのようなことに関心がありました。

最初に書いた学術雑誌論文も、バックグラウンドの違いによってコミュニケーションの齟齬や視点取得がどのような認知プロセスで起きるのかを検討したものでした(認知科学 Vol.14(2007) No.4))。

しかし、人間のインタラクションをじっくり見ていくなかで、実に多様な要因がコミュニケーションに影響していることが明らかになり、それを実証的に検討するためには、他者の振舞い方や環境をうまくコントロールする実験手法が必要であることが分かりました。

これは、大変難しい問題でしたが、人間とコンピュータとのインタラクションに関するHuman Computer Interaction(HCI)や人工知能に関する研究分野との出会いが、現在の専門分野への扉を開くきっかけとなりました(知能と情報 Vol.24(2012) No.4))。

人工知能の技術を応用することで、人間のインタラクションを分析する為の様々な実験装置やシステムを開発することが可能となり、とにかく研究が楽しかったですね。
このように研究のプロセスを通じて、認知科学者として必要な知識や技術そして経験を得ることができました。

高校生へメッセージをお願いします。

勉強していて、何かワクワクして面白いと思えるものを
何でもいいので見つけください。

そして、それに取り組む中で、
共通の関心を持つ仲間を見つけると良いでしょう。

同じ興味関心を持つ者同士でも、自分とは少し違った視点や考え方で、
対象を見ていることもあったりします。

そしてそのような仲間との出会いや他者とのインタラクションが、
自分の視野を広げたり、また新たな興味関心へとつながる
きっかけも与えてくれます。

もしかすると、日常的に取り組んでいることが面白い研究の
アイディアにもなるかもしれません。

多様な学生が集う立命館大学総合心理学部で
一緒に面白い研究をしてみませんか?

キャンパスでお会いできることを楽しみにしています!