TANI Chisato
専門分野は臨床心理学で、研究テーマは「良好な人間関係を築くための心理学的支援」です。なかでも、「この人といれば、心の底から安心できる」「この人は自分を大切にしてくれている」と感じられるような、“温かな関係性”はどのように構築できるか、ということに関心があります。
人間関係には様々な種類がありますが、現在はカップル・夫婦関係に焦点を当てて研究を行っています。かけがえのないパートナーとの絆は心の拠り所となる一方で、ちょっとしたすれ違いから関係が悪化したり、信頼が崩れてしまうことも珍しくありません。研究を通じてカップル・夫婦が良好な関係を構築・維持するための秘訣を明らかにし、支援へと役立てたいと考えています。
子どもの頃から人の心や行動に興味があり、心理学を学びたいと思っていました。高校生の頃は部活(吹奏楽部でした)ばかりしていましたが、大学で心理学を専攻してからは、自分の興味がある分野を学べるのが楽しく、割と真面目に授業を受けていました。
大学生になってから、授業や時間の使い方、所属するコミュニティーなど、多くのことを自分で選べるようになったのも、私にとってはいいことでした。自分のペースで生活できるようになったことでとても気が楽になりましたし、ようやく、他者の目を気にせずに、自分自身や目の前の相手にちゃんと目を向けられるようになったと思います。
学部時代に「応用行動分析学」の授業を受講したことがきっかけで、行動の機能(意味や働き)といった視点から対人コミュニケーションを眺めることの面白さと実用性に惹かれました。
大学院に入ってからは、人間関係や対人コミュニケーションに関する研究をしたいとは思っていたのですが、具体的にどのような関係性を対象とするのかを決めかねていました。そんなとき、指導教員の先生に勧めていただいたことがきっかけで、博士課程後期課程からカップル・夫婦関係の研究を始めました。論文を読んだり、実際にカップル・夫婦の方々とお会いしていくなかで、良好な関係を築くことの重要性と難しさを痛感し、現在の専門分野を志すに至りました。
大学は、様々な人に出会える楽しい場所です。他者の視点や価値観を知ることはとても面白い体験ですし、他者との関わりを通じて、世界を眺めるレンズが増えていくことは、人生の支えになるのだろうと思います。自分自身、そして目の前の相手を大切に、楽しい学生生活を送ってください。