心理プラスな人(卒業生メッセージ)

2024年度



コミュニケーションを軸に、本社と現場の橋渡し

北野 青空 さん
心理学専攻 2019年卒業

株式会社あおぞら銀行 本店 サステナビリティ推進部

総合心理学部を卒業し、現在はあおぞら銀行の本店で働く北野青空さん。日々の業務では、大学時代の経験や学びを、社内外でのコミュニケーションに活かしていると言います。また、周囲には他大学の心理学部出身者が多く、総合心理学部の強みを感じることもあるのだとか。北野さんに、詳しくお話を伺ってみましょう。

投資信託販売からサステナビリティへ

2019年度に総合心理学部を卒業し、あおぞら銀行に入行した北野さん。現在の部署に配属される前は、福岡支店で投資信託販売の営業を担当していたと言います。営業というと自社商品にかける熱意が大事と思われがちですが、投資信託の場合は少し事情が違うのだとか。

「福岡支店では、幅広い選択肢の中から、おすすめの商品をピックアップしてお客さまにご紹介する仕事をしていました。何百とある銘柄の中から、お客さまの事情に応じて、柔軟な対応ができる点が魅力でした」

持ち前のコミュニケーション能力はもちろん、上司やお客さまにも恵まれ、支店の営業成績トップに輝いたこともあるそう。23年4月に本店のサステビリティ推進部に異動してからは、社会貢献活動の一環である寄付などの取り組みを担当していると話します。

「本店に異動になって、お客さま一人ひとりとお会いする機会は減りましたが、社内の他部署と連携したり、協力団体の方とお話ししたりと、コミュニケーションの幅は広がりました。新しい取り組みが多く、自分たちから働きかけていくことが求められる部署なので、一筋縄ではいきません。営業で培ったスキルを活かしていきたいです」

心が読めないからこそ、歩み寄る

相手のバックボーンや知識を踏まえ、自分の言葉がどう受け取られるかを考えながら対話するのが、北野さん流のコミュニケーション術。その背景には、総合心理学部での経験があるのだとか。

「発達心理学の講義で、入院するほどの症状ではなくとも、軽度の発達障害には私を含めて大半の人が当てはまってしまうことを知りました。誰もが“変”な側面は持っていて、たまたま私と話しているときに、その側面が前を向いているだけかもしれないんです」

社会に出てからは、異なる環境・コミュニティで生きてきた人たちとも多く出会います。北野さんは、“変わった人”を第一印象で遠ざけてしまわず、適切な距離感を図るためにも、心理学や周辺領域の知識が役に立っていると語ります。

「お客さまには、総合心理学部卒というと『心が読めるんでしょう?』とよく聞かれます。本当は、心が読めないから、色々な手段で歩み寄ろうとするのが心理学なんですよね。だから、今後も相手を知ろうとする姿勢は大切にしていきたいです。まあ、聞かれた時は冗談で『読めますよ』と返しちゃうんですけど(笑)」


自分の立ち位置を、客観的に捉える大切さ

会話では、発言内容以外に相手にどう見られているかを考慮することも大切です。北野さんはサステナビリティ推進部に配属されてから、その点により気を配るようにしているそう。

「サステナビリティの考え方自体が新しく、部署もここ数年の動きを踏まえて創設されたもの。部署の名前を聞いても、“具体的に何をする部署なんだろう”と疑問に思う方は多いでしょう。まずはそれを自覚し、私たちの業務内容とその意義を知ってもらうところから始めていく必要があります」

たとえば、CO2削減の方針として、自社だけでなくお客さまの排出量まで含めて管理する“Scope3”というものがあります。これは、2050年までのカーボン・ニュートラル(排出量ゼロ)を目指そうという、国際的な潮流の中で生まれてきた新しい考え方です。実現するためには、営業部とも連携しながらお客さまとの合意形成を図っていくことが求められます。

「十分な理解を得られないまま進めてしまうと、いわゆる“グリーン・ウォッシュ”のように、上辺だけ取り繕うことにもなってしまいかねません。まだスタンダードではない考え方に基づいて活動していることを忘れず、丁寧なご説明を欠かさないように心がけています」

他部署と連携する経験を活かし、ゼネラリストを目指す

北野さんによれば、心理学部出身の同僚は意外に多く、高いコミュニケーション能力が求められる窓口やリテールの部署で、存在感を発揮していると言います。“相手を不快にさせない”対人スキルに長けており、彼らの大学時代の話を聞くと、総合心理学部とは明確に異なる部分もあるそうです。

「他大学の心理学部は、初めから分野を絞って勉強することが多いのかなと。臨床なら臨床、発達心理なら発達心理とその道のプロを育てているイメージです。一方で、総合心理学部は入学初年度から多角的な学びがあり、色々迷いつつも最後には自分の好きな分野で専門性を深めていく学生が多いのではないでしょうか」

そう話す北野さん自身も、第一希望ゼミの選考に落ちた先で、思いもよらない学びがたくさんあったのだとか。高校生の段階で将来就きたい仕事が決まっていなくとも、幅広く学習する中で本当にやりたいことを見つけていけるのは、総合心理学部ゆえのメリットです。

「大学時代の経験もあって、今はプロフェッショナルよりも、ゼネラリストとして働くことに魅力を感じています。サステナビリティ推進部で他の部署と関わる機会も増え、業務内容を教わることもあるので、俯瞰的な視点で仕事に関われるようになっていきたいです」

銀行の業務は、貸出・ローンなどお客さまの生活に密着したものが多く、人生に関わる重大な場面に立ち会うこともしばしば。総合的な知見が役立つことも今後は増えてくるはず、と語る北野さん。責任の重さを受け止めつつ、仕事を楽しんでいる北野さんの働き方から学べることも、多くありそうです。

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