MURAYAMA Aya
社会に生きる私たち人間が、自分自身や他者をどのように意味づけ、情報を処理しているのか、そしてそのような意味づけが生み出すコミュニケーションの特徴について、社会心理学的な観点から研究をしています。全体として、集団や社会で生じるコミュニケーションの齟齬の理解と改善に興味・関心があります。なぜ人は被害者を責めるのか、なぜ人は変化を嫌うのか、なぜ特定の社会集団に対して偏見や差別が生じるのか、といったことを近年の研究テーマにしています。
高校卒業後の進路を考えている時に、心理学に興味を持ちました。そして、「心理学の授業では、英語の論文を読みます」という進学関連雑誌に書かれていた情報から、「アメリカの大学に行けば心理学と英語を同時に学べるのでは?」と、今考えるとかなり無謀な結論に至り、アメリカの大学に進学しました。英語が好きなわけでも得意なわけでもなく、またどちらかというと一人で静かに活動するのが好きなタイプだったので、アメリカでの生活は楽しさよりもストレスのほうが大きかったです。差別的な扱いを受け、疎外感を覚える出来事もありましたが、20歳前後でマイノリティとして外国で暮らし勉強したことは、今になっては貴重な経験だったと思います。アメリカ同時多発テロが、大学生活最後の学期中に起こりました。離れた場所ではありましたが、今でもその日のことは覚えています。
大学在学中に、いくつかの心理学の科目を受講しました。その中で、多くの人に当てはまる、大体の傾向を明らかにしようとする社会心理学の考え方や理論に興味を持ちました。小さい頃から人間観察が好きで、あの人(たち)はなぜ、ああいう振る舞いをするのだろうという素朴な疑問をもつことも多かったです。それらの疑問が、社会心理学の理論で説明できることを学び、さらに知ってみたいと思ったのが現在の専門分野を志したきっかけです。
大学の受験科目は、英語、数学、国語、理科、社会と、教科ごとに分かれます。また、社会科を例に挙げると、日本史、世界史、地理…とさらに細かく分かれます。しかし、それらは単に、便宜上分けられているだけで、実はすべてがつながっているのだということに、私は高校卒業からずいぶん時間が経った後に気づきました。今みなさんが、それぞれ別のものとして授業を受け、勉強している教科たちは、相互に関連し合っています。そのつながりを、ぜひ意識してみてください。