NAGAI Masayoshi

永井 聖剛

永井 聖剛
所属学部
総合心理学部
職位
教授
専門
認知心理学、生理心理学
主な担当科目
「応用認知心理学」、「生理心理学」
おすすめの書籍
ソーシャルブレインズ―自己と他者を認知する脳開 一夫、長谷川 寿一 (編著) 東京大学出版会 赤を身につけるとなぜもてるのか?タルマ・ローベル (著) 池村 千秋(訳) 文藝春秋

現在の研究テーマ(または専門分野)について教えてください。

認知心理学とその応用に関して様々なことに興味を持ち、複数の研究テーマを展開しています。ここでは、近年力を入れている「身体と認知」というテーマについて紹介します。

例えば、「大きな声を出しながら大きな動作を行う」のは簡単ですが、逆に「大きな声を出しながら小さな動作を行う」のは難しいことは容易に想像できますよね。このことが実際に生じることを実験によって明らかにしました(日本認知心理学会、優秀発表賞)。

関連する研究では、「大きな物を見ると大きな力が生じやすい」ことも示しています(日本心理学会、特別優秀発表賞)。

これらの現象は、脳で扱われる「見た物の大きさ」や「動作の大きさ」の情報が互いに共有されているために生じると考えられます。

他にも、「社会的コミュニケーションと認知」、「顔の認知」、「動的シーンの知覚」などについて研究を行っています。

どんな学生時代を送っていましたか。

小学生からはじめたバスケットボールを、大学でもサークルで続けていました。
所属する関西同好会連盟リーグはレベルが高く、練習もそれなりにきついものでした。当時は立命が圧倒的に強く、私の所属する関学は一度も勝てませんでした。

夜の飲みも相当にタフで、サークルを中心とした大学生活で心身ともに鍛えられました(笑)。

さて、勉学の方ですが、大学入学時には心理学に関係した仕事に就きたいと思っていたので、「大学生らしい」生活の傍ら、心理学の専門科目を真面目に勉強していました。

今は専門内容を平易に説いた本がたくさんありますが当時はほとんど無く、実力以上の難しい本や論文を読もうとして苦労したことを覚えています。

卒論は運動対象への注意について脳波を用い研究し、英語の学術論文になりました。大学院に入ってからは、研究が中心となる毎日に変わっていきました。

現在の専門分野を志した理由・きっかけを教えてください。

もともと宇宙物理学に興味を持っていました。しかし、高校で数学の成績が低迷し、理系の道を断念。

そんなとき、「脳は小さな宇宙!」という科学記事を読み「宇宙を調べる前に、脳を研究したらよい」と納得し、脳を研究できる生理心理学を志すようになりました。自分と他人が見えている世界は違うのかなど、人間の視覚に自然と興味を持つようになりました。

「運動物体の移動先予測」を最初の研究テーマ(卒論から大学院)としましたが、これはなぜボールの軌道が予測できるのか、という素朴な疑問が発端です。

産総研(経産省系の研究所)在籍時には企業との応用研究に携わったり(運転が上手い人の認知的情報処理的特徴など)、自閉症者を対象とした研究(自閉症者の顔認知の特殊性など)を行う機会も得て研究の幅を大きく拡げました。

子供が生まれてからは、遊びの中でテーマを思いつくことも多くなっています。

高校生へメッセージをお願いします。

総合心理学で学ぶことができる心理学は、
良い意味で皆さんの予想や期待を裏切ることになると思います。

予想していたよりもずっと広く、そして深く、心理学を勉強できるはずです。

机に向かって考えることだけが勉学や研究ではありません。

日常生活でふと抱く素朴な疑問、
友人との何気ない会話から生まれる奇抜な着想、、、
実は面白い発見につながる「原石」です。

一緒にそれを磨き、素晴らしい研究にしましょう。

経歴・業績について