YAMAOKA Ayuchi
今はさまざまなマイノリティ性を持つ人の生きづらさについて、社会構造に問題があるという前提で心理学・社会学・福祉学の学際的な観点から、定量・定性的研究をしています。実際の人とのかかわりの中で生まれる問題意識を大切にし、社会課題の解決につながることを目指しています。具体的なテーマとしては受刑歴がある人の出所後の就労を中心とする生活の立て直し、スティグマ、金銭感覚などについて精神障害や小児時逆境体験、ジェンダーの視点も含めて検討しています。また、性風俗従事者の抱える精神障害や小児時逆境体験、スティグマによる孤立の研究も始めました。そして、学生時代は社会心理学的に実施してきたいじめの加害の研究を加害者臨床の視点から行っています。センシティブなテーマのため、当事者の方々にアドバイスをもらいながら進めています。
学部は法学部でまだ心理学には出会っていませんでした。前半はサークルにあけくれ、友達とだらだらと過ごすのが生活の中心で、まさに自由を謳歌する不真面目な学生でした。3回生から弁護士を目指して試験勉強に取り組むも、やりたいことと勉強のつながりが見えず苦しい時期でした(心理学に興味を持ったきっかけです)。結局4回生の途中で法曹をあきらめました。本当に自分のやりたいことは何か。日雇いなどで倉庫、工場、飲食店、などとにかく様々なアルバイトをして、大学では出会えないような人に会いました。学部時代にあった友人とはいまだに親交もあり、仕事やNPOの活動でも関わりがあるなど、長くつながることのできる人に会うことのできた時期でした。また、就職すると時間に追われるため、後にも先にも「あんなにも贅沢に時間をつかった」ことはなかったと思うのでかけがえのない学生時代でした。
中高時代から、戦争などのドキュメンタリーや虐待のニュースなどをみて、「人はなぜここまで残酷になれるのだろうか」ということや、人種問題・格差などの社会構造の問題がずっと気になっていました。大学進学まではぼんやりと法律でアプローチをしてみるのか…?というくらいでした。心理学に出会ったときは、まさにずっと気になっていたことに取り組むことができると強く惹かれました。その後学部3年編入から博士まで社会心理学を中心に取り組みました。その後一度社会に出て、国家公務員の矯正心理職として少年鑑別所などの矯正施設で働く中で、「塀の向こう」の問題に衝撃を受け、最近は現在の研究テーマに中心をうつしました。
今皆さんはどんなことに関心があるでしょうか。まずは目の前の受験勉強に集中しているかもしれません。大学は受験勉強とは違う「学び」の楽しさがある場所です。受験勉強では、ある程度全国共通で与えられた知識をインプットして、与えられた課題を人と競争しながらクリアすることが求められます。大学では自由に自分の関心の問いを学び、それに対するまだ「与えられた知識」がない場合それを自分で見つけることもできます。また、多くの素敵な出会いがある可能性もあります。「一生やりたいこと」に最初から出会う必要もなく、ただその貴重な時間を過ごすことでも価値があります。勉強や学びだけでなく、「今しかできない体験」をぜひ大切にしてみてください。スティーブ・ジョブズの「コネクティングドッツ」という考え方のように、すべての経験が一見関係がないようなものであったとしても、皆さんの将来に重要なものとなると思います。