研究プロジェクト

「足るを知る」(感謝の気持ち)から生じる
正の連鎖の心理・脳科学的解明

プロジェクトリーダー:山岸 典子

山岸 典子

メンバーリスト

リーダー
山岸 典子情報通信研究機構 脳情報通信融合研究センター主任研究員
メンバー
ノルベルト・
エイジ・ナワ
情報通信研究機構 脳情報通信融合研究センター主任研究員

研究プロジェクトの概要(目的・目標(成果))

2016年度、当グループでは稲盛経営哲学「足るを知る(感謝の気持ち)」の神経科学的根拠の探求を目的として、先行する「Gratitude(感謝の気持ち)」に関する心理・神経科学的研究のレビューを行った。この結果、感謝の気持ちを持つことと、ポジティブな感情には関係があること、更に、感謝の気持ちに注意を払い続けるとポジティブな感情が増大するという方向性が明らかになった(図1の1->2)。

一方、提案者らは有意注意に関連する脳活動変化が強いほど、のちの作業パフォーマンスも向上することを明らかにしている(Yamagishi et al., 2008) (図1の3->4)。また、近年ポジティブ心理学を中心に感情が注意機能に影響を与えているという仮説が提唱されており、研究が進められている。しかし実験により結果が異なり、これについては示唆されているものの証明はされていない(図1の2->3)。

そこで提案者らは、「感謝の気持ちを持ち続けると、ポジティブな気持ちとなり、有意注意がうまくできるようになり、作業パフォーマンスが向上する」という「感謝の気持ちから生じる正の連鎖」があるのではないかと仮説を立てた(図1)。本研究では、稲盛氏が提唱している「感謝の気持ちをもつ」(京セラフィロソフィー)、「常に明るく」(稲盛経営12か条、京セラフィロソフィー)、「有意注意で判断力を磨く」(京セラフィロソフィー)といった個々の項目には実は関係性があり、正の連鎖となっていることを認知心理・脳科学的に解明することを目的とし、科学的実験手法による解明に取組む。

図1.「足るを知る」(感謝の気持ち)から生じる正の連鎖


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