【開催報告】2月28日(土)立命館土曜講座
「加藤周一が愛したものーー言葉と人間」
講師:鷲巣力 研究顧問 (立命館大学加藤周一現代思想研究センター)
半田侑子 プロジェクト研究員 (立命館大学加藤周一現代思想研究センター)
会場には48名、オンラインでは延べ99名が参加しました。
2026年2月28日の立命館土曜講座では、加藤周一の思想と人生を「愛」と「憎しみ」を手がかりに読み解く講座を開催しました。
加藤周一現代思想研究センターから、鷲巣力研究顧問と半田侑子プロジェクト研究員のお二人にご講演いただきました。
■ 加藤周一の「愛」について:半田プロジェクト研究員
半田プロジェクト研究員は、はじめに加藤周一文庫デジタルアーカイブについて触れた上で、加藤が向き合ってきた「愛」というテーマを取り上げました。
「愛」を考える原点は、深い影響を与えた母の存在にあったといいます。母に抱かれて感じた無条件のあたたかさは、彼の精神に強い痕跡を残しました。加藤は「母の愛」と「愛国心」を対置させ、「愛」は「心の中に「おのずから起こる」私的な情念であり、公権力が介入すべき領域には属さない」という思索につなげました。
半田プロジェクト研究員は、加藤の歩みを振り返りながら、「彼が愛したものは“言葉”と“人間”であり、最後まで“書き続ける人”であった」と語りました。加藤が書き続けられたのは、言葉を読む誰かの存在を信じ、人間を信頼し、小さな希望を大切にしていたからだと結びました。
■ 加藤周一の「憎しみ」について:鷲巣研究顧問
鷲巣研究顧問は「加藤が憎んだもの」として、「戦争」と「権力」を挙げ、その二つが密接に結びついていることを示しました。
戦争が人間の命と尊厳を奪い、前線でも銃後でも心身を傷つけるものであること。親友を失った経験が、悲しみ以上の激しい“怒り”として加藤氏に刻まれたこと。戦争が子どもの未来を奪い、どんな人間も悪魔に変えてしまうこと。このようなことから、加藤氏は一貫して戦争を憎み続けました。
また、権力の危険性についても、鷲巣研究顧問は丁寧に説明しました。権力は人々を徐々に“戦争への可能性”へ慣らしていくものであり、日々の小さな変化に敏感であること、そして“疑いの目”を持つことの重要性を加藤は強調していました。
「希望を捨てない限り敗北はない」という姿勢が、加藤の思想と行動を支えていたと、鷲巣研究顧問は語りました。
参加者からは
「加藤周一の戦争や政治に対する考えを理解し、その原点である「愛」について内容を深めることができた。」
「これまで知っていた加藤周一の新しい面・背景などのエピソードを知ることができて参加してよかった。」
といった声が寄せられました。
2月28日エッセイ
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