【開催報告】9月26日(土)立命館土曜講座
「伝統的街並み及び伝統構法木造建物におけるバリアフリー」
講師:立命館大学理工学部 建築都市デザイン学科 講師 遠藤 直久
会場には38名、オンラインでは延べ38名が参加しました。
9月26日の立命館土曜講座では、立命館大学理工学部建築都市デザイン学科講師の遠藤直久氏を講師に迎え、「伝統的街並み及び伝統構法木造建物におけるバリアフリー」をテーマにご講演いただきました。
講演では、歴史的な街並みや伝統木造建築におけるバリアフリーの課題について解説されました。石畳や段差などが移動の障壁となる一方で、文化財保護の観点から大規模な改修は難しく、歴史的価値の継承と利用しやすさの両立の重要性が示されました。
車いす利用者との調査から見えた多様な課題
講演では、滋賀県近江八幡市の旧市街地を対象に実施した現地調査の成果も紹介されました。車いす利用者とともに現地を歩きながら調査を行い、道路や歩道、伝統的建築物の利用状況を検証した結果、段差や勾配、幅員不足といった物理的な課題だけでなく、周囲への遠慮や「助けを求めにくい」という心理的負担も大きなバリアとなっていることが明らかになりました。
遠藤氏は、こうした課題を整理・分析するため、「物理」「意識」「情報」「制度」「文化」の5つの視点からバリアを分類。車いす利用者だけでなく、周囲の人々が障害への理解を深めることの重要性を強調しました。歴史的な街並みでは建物そのものを改修することが難しい場面も多いため、人々の認識や対応を変えていくことが有効なアプローチになると説明されました。
バリアフリーと文化財保全の両立を目指して
講演の後半では、BIWAKOビエンナーレ2025で実践した取り組みも紹介されました。歴史的建造物を会場とする展示空間において、車いす利用者が作品鑑賞できるようスロープや通路を整備し、伝統建築の価値を損なわない形で利用環境を改善する試みが行われました。
遠藤氏は、歴史的な街並みや建築を守りながら、多様な人々が安全に文化や歴史に触れられる環境を整えることの重要性を強調しました。講演後の質疑応答では、車いす利用者への対応や防災との両立、テクノロジー活用の可能性などについて意見交換が行われ、参加者にとって歴史的価値の保存と利用しやすい環境づくりをどのように両立していくかを考える機会となりました。