2025.09.17

【開催報告】9月13日(土) 立命館土曜講座

周縁を生きる女性の子どもから大人への移行: ケアの引き受けと継続の論理

講師:大久保遥 講師(名古屋芸術大学 芸術学部 )

9月のテーマ「女性と子どもを取り巻く様々な困難を考える」のもと、名古屋芸術大学芸術学部 講師 大久保遥先生による講演が開催されました。会場には28名、オンラインでは延べ54名が参加し、静かな熱気に包まれました。

まず、「子どもから大人へと成長する中、家族のケアを引き受けていくこと、それはどういう論理があるのかが今日のテーマです。」という言葉で講演がはじまりました。「2025年度には高校生の約10人に1人が通信制高校に在籍する見込み。不登校経験者の受け皿として通信制高校が機能する一方で、高卒資格の取得が彼らの困難の「解決」になるとは限らないのではないか、見えなくなっている社会問題があるのではないだろうか」と研究プロジェクトの概要説明がありました。

通信制高校生約50名へのインタビューから、いじめ、家庭内虐待、貧困など、表面化されてこなかった深刻な経験が明らかになるなかで、卒業後も家族を経済的にも精神的にも支える二人の女性の事例をとりあげながら講演がすすめられ、社会全体が暗黙のうちに押しつけてきたジェンダー役割を見直す必要がある」とともに、「本研究を通じて周縁化された若者に個人責任を負わせるのではなく、わたしたちが分有して引き受けていく一つの動機となることを願う」と、静かに力強く締めくくられました。

参加者からは、「日本社会の性別分業は少子化を推し進める一因と日頃感じていました。」「今後のケアラーのあり方を考える上で、ジェンダーの視点も欠かせないのだなと思いました。」といった感想が寄せられました。

9月13日エッセイ

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