2025年9⽉13⽇(第3433回)

周縁を生きる女性の子どもから大人への移行: ケアの引き受けと継続の論理

名古屋芸術大学 芸術学部 講師 大久保 遥

貧困や被虐待、ヤングケアラーなど、今日において子どもたちをとりまく様々な困難の背景にある問題が明らかとなっています。こうした状況に対し教育や支援に関する機関・政策は、子ども達の「自立」を目指し、学習支援や就労支援を通じて、世代的再生産を防ぐことを目指してきました。
しかしながら、個人へのアプローチだけで、子どもは大人への移行過程において家族の困難から免れられるようになるのでしょうか。とくに女性の場合、家族内でケアの役割を担いやすいことが指摘されてきました。ケアというものは、一人では成り立たず、相手との関係性のなかで生じるものです。そのためケア行為は、必ずしも誰かから強制や義務が伴うのではなく、関係性のなかで女性が主体的に引き受けている側面もあります。だからこそ、個人へのアプローチだけでは、女性の移行期における困難を把握することが難しく、移行支援を十分に果たせません。そこで、彼女たちが子どもから大人になるなかでなぜケアを継続するのか、彼女たちをとりまく関係性から、当事者の論理に迫ります。
講座では、子どもから大人への移行期にある彼女たちが、家族をケアする行為からみえるジェンダー構造の問題について、お話したいとおもいます。

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