2025年9⽉27⽇(第3434回)

沖縄の貧困を再考する: 子ども、シングルマザーの貧困をめぐって

立命館大学産業社会学部 准教授 桜井 啓太

 貧困という視点で日本を見渡すと、沖縄は常に際立った位置にあります。1人あたりの県民所得や相対的貧困率は全国最下位であり、失業率・非正規率の高さ、低賃金、離婚率や持ち家率の低さ、そのほか観光業や建設業に偏った産業構造、離島県という地理的制約などさまざまな不利が集積しています。歴史的には、第二次世界大戦の地上戦による影響や、戦後の米国統治における経済・社会保障上の不利もその背景にあります。

 子どもの貧困という視点からは、沖縄の厳しい状況がより鮮明に浮かび上がります。就学援助率は全国平均を大きく上回り、特にシングルマザー世帯における貧困は深刻な様相をみせています。こうした状況に対し、沖縄県は2010年代前半から毎年実態調査を行い、その把握と対策に取り組んできました。

 本講座では、これら構造的な要因を整理しつつ、特に子どもとシングルマザーに焦点を当て、調査によって可視化されてきた貧困の現状と背景を多角的に検討します。沖縄の貧困を「個人の問題」ではなく「社会の課題」として捉え直す視座を共有します。

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