【開催報告】3月7日(土)立命館土曜講座
「朝鮮学校から考える日本のダイバーシティ」
講師:立命館大学映像学部 教授/コリア研究センター長 宋基燦
会場には31名、オンラインでは延べ43名が参加しました。
2026年3月7日の土曜講座では、宋基燦教授をお招きし、「朝鮮学校から考える日本のダイバーシティ」をテーマにご講演いただきました。
■ 朝鮮学校を研究することの難しさ
宋教授が日本に来た当初は、「韓国人が朝鮮学校を研究すること」自体が難しく、朝鮮学校への根強い誤解から偏った見方をされることも多かったといいます。
講演では、こうした背景に触れつつ、著書『「語られないもの」としての朝鮮学校』やドキュメンタリー映画「So Long Asleep」が紹介されました。
■ 日本語という言語がもつ特徴とその対比
宋教授は、日本語の「存在詞」—“いる/ある” が対象に命があるかで使い分けられる—という特徴に触れ、日本語が「命」に非常に敏感な言語であると語りました。
事故現場に花を手向ける習慣などを例に、日常の中に“いのちを大切にする感覚”があることが語られ、言葉とのつながりがわかりやすく紹介されました。
ところが、帝国日本が東アジアで行ったさまざまな暴力の実行役でもあった当時の日本人たちは、このような生命尊重の日本文化との乖離を感じて悩んでいたのではないかと森鴎外の小説『鼠坂』の事例を挙げて説明し、その後ろめたい集合的記憶が「日本型ゼノフォビア(Xenophobia;外国人嫌悪)」の原型を作った可能性について言及しました。
■ 日本で外国人として生きることの難しさ
講演では、朝鮮学校へのヘイトスピーチ映像を用いて、日本で外国人が直面する厳しさが語られました。宋教授は、歴史的な差別構造が背景にあると指摘し、戦後の国籍問題を交えながら、在日コリアンが抱える複雑さを説明しました。
■ 朝鮮学校の日常から考える「ともに生きる」社会
講演後半では、朝鮮学校での様子が映像で紹介されました。語学教育など、独自の教育体系が紹介されました。子どもたちは日本語と朝鮮語の二つの世界を行き来しながら、自分らしさを広げているといいます。
宋教授は、生徒たちが状況に合わせて言葉やふるまいを切り替える力は、多文化の中で生きていくための大切な知恵でもあると説明しました。また、朝鮮学校は「コミュニティが生きている学校」として、多文化共生を考えるうえで大きな役割を果たしていると強調しました。
参加者からは、
「私が生まれ育った地域にも朝鮮学校があったので、比較的身近な存在ではありましたが、どのような学校なのかはほとんど知らなかったので、興味深いお話がきけて勉強になりました」
といった声が寄せられました。
3月7日エッセイ
「語られないもの」としての朝鮮学校/宋 基燦|人文・社会科学書 - 岩波書店