2026年3⽉7⽇(第3443回)
朝鮮学校から考える日本のダイバーシティ
立命館大学映像学部 教授/コリア研究センター長 宋基燦
日本政府の高校無償化および幼保無償化政策からの差別的排除、さらに少子化の影響により、近年、朝鮮学校は存続の危機に直面している。しかしそれでもなお、朝鮮学校は北海道から九州に至るまで、幼稚園から大学に相当する課程までを含む独自の教育システムを構築している日本最大の「外国人教育組織」として存在し続けている。日本にある教育機関として、これまで朝鮮学校は数多くの卒業生を輩出してきた。近年では、映画『国宝』によって日本映画の新たな地平を切り拓いた李相日監督のように、多くの朝鮮学校卒業生が日本社会の一員として、さまざまな分野で活躍している。こうした事実からも、日本社会における朝鮮学校教育の公共性は本来、正当に評価されるべきである。さらに、日本の学校教育の歴史を振り返れば、公教育の枠組みの中で朝鮮学校が運営されていた時期も存在していた。しかし、そうした歴史的経緯にもかかわらず、現在も続く朝鮮学校に対する差別的排除は、日本社会における朝鮮学校の公共性を否定するものとなっている。その背景には、朝鮮学校と北朝鮮との関係をめぐる日本社会の「懸念」がある。本講演では、朝鮮学校の歴史をあらためて振り返り、こうした「懸念」に対する異なる理解の可能性を提示する。あわせて、朝鮮学校の教育実践に関する人類学的研究の成果をもとに、日本社会において朝鮮学校が有する公共性を、ダイバーシティの観点から明らかにする。
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