2026.04.08

【開催報告】4月4日(土)立命館土曜講座

「アメリカ崩壊~米国人ファーストの果て」
講師:毎日新聞社 記者 國枝 すみれ

会場には79名、オンラインでは延べ100名が参加しました。

2026年4月4日の土曜講座では、毎日新聞社記者の國枝すみれさんを講師に迎え、「アメリカ崩壊~米国人ファーストの果て」をテーマにご講演いただきました。

■ 「米国人ファースト」が生んだ分断
國枝さんは、2024年に約1年間にわたり車で全米を横断する「ノマド記者」として現地取材を行い、その経験をもとに、現在のアメリカ社会の実像について語られました。
講演の冒頭では、トランプ政治を象徴する「Make America Great Again」「America First」といったスローガンが、なぜ今なお多くの人々の支持を集め続けているのかが取り上げられました。國枝さんによれば、トランプ支持層(MAGA)の多くは、「自分たちがトランプに操られているのではなく、トランプが自分たちの求めに応えている」と認識しているといいます。
また、連邦議会議事堂襲撃事件をめぐる認識の違いを例に、アメリカ社会では事実の受け止め方そのものが分断され、互いに交わらない二つの世界観が並立している現状が指摘されました。これは従来の「保守対リベラル」という対立を超えた、より深刻な分断であると説明されました。

■ 分断が固定化する社会と民主主義のゆくえ
講演後半では、こうした分断が一過性のものではなく、構造的に定着しつつある状況が示されました。トランプの得票数は選挙のたびに増加しており、MAGAは怒りや不安を背景とした一つの社会運動として根付いています。コロナ禍やインフレ、移民問題といった現実的な困難に加え、SNSを中心とする情報環境の分断が進み、人々が同じ出来事について異なる「現実」を受け取るようになっていると語られました。
さらに、キリスト教ナショナリズムや陰謀論、反ワクチン運動などが結びつき、トランプ運動の中核を形成している点にも触れられました。一方で、トランプを取り巻く富裕層やテック業界の関係者が、自らの利益のために彼を利用している側面についても紹介されました。
講演の終盤では、「民主主義を弱体化させてきた責任は、政治家だけでなく市民にもある」という指摘がなされました。複雑な現実よりも単純なスローガンに引き寄せられ、政治や報道を十分に監視してこなかったことが、現在の状況を生み出しているのではないか、という問いが投げかけられました。
國枝さんは最後に、日本にとってもアメリカ一極依存を見直し、国際社会の中での立ち位置を改めて考える必要性を強調されました。

参加者からは、
「いまのアメリカをよく理解できました。今日の講義を踏まえて今後のニュースを見て、考えていきたいと思います。」
といった声が寄せられました。

4月4日エッセイ
國枝すみれ | 毎日新聞
アメリカ 崩壊の地をゆく | 毎日新聞出版

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