2026年4⽉4⽇(第3445回)

アメリカ崩壊~米国人ファーストの果て

毎日新聞社 記者 国枝 すみれ

 米国はなぜここまで劣化したのか?米国の民主主義を壊している要因は何か?答えを求めて、大統領選の5カ月前の24年6月に渡米した。それから1年間、住所不定のノマド記者として滞在した。

 トランプ氏の選挙は16年から取材しているが、24年は情報戦だった。陣営は「ハイチ移民が犬や猫を食べている」「ベネズエラ人のギャングがアパートを占拠している」といった偽情報や誇張された言説を拡散し、反移民感情に訴えた。移民の大量流入に対する不安や反発、それに伴う米国人ファーストの世論の高まりをうまく利用した。

 トランプ支持者は20年大統領選で不正があったと信じ、21年1月6日の連邦議会議事堂襲撃は「平和的な抗議運動だった」と主張している。議会襲撃に関与して訴追・有罪となった者が恩赦され、ゆがんだナラティブが勢いを増している。

 米国人は事実を事実として確定する能力を失いつつある。オールドメディアの衰退、ニュース源の分断化、IT企業と政治の癒着、コロナ禍で拡大した政府や専門家への不信といった状況が変化しなければ、政権が変わっても、情報操作に脆弱なままだろう。米国はどうなるのか。内戦の可能性はあるのか。崩壊を止める方法はあるのか。それを考えたい。

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