2026.07.10

【開催報告】7月4日(土)立命館土曜講座

「地域で守る!子どもの命~聞こえますか? 子どもの声なき声~」
講師:国立病院機構四国こどもとおとなの医療センター 小児科・育児支援対策室長
木下 あゆみ

 会場には22名、オンラインでは延べ43名が参加しました。

 2026年7月4日の土曜講座では、木下あゆみ先生を講師に迎え、「地域で守る!子どもの命~聞こえますか? 子どもの声なき声~」をテーマにご講演いただきました。

虐待を防ぐために必要な「地域の支援」

 講演ではまず、木下先生が小児科医として関わった虐待事例や、支援していた子どもを虐待によって亡くした経験が語られました。その経験から、虐待は単に親を責めるだけでは解決せず、子どもや保護者を孤立させない地域の支援体制が重要であることが強調されました。

 さらに、子どもの死亡事例を検証して予防につなげる「チャイルド・デス・レビュー(CDR)」や、虐待死が乳幼児期に集中している現状について紹介され、保護者支援の重要性が説明されました。あわせて、医療センターで20年以上続く「育児支援対策室」「育児支援外来」の実践が紹介され、育児への不安や困りごとの段階から支援につなぐことで、虐待の未然防止を目指す取り組みが報告されました。

子どもの声なき声を受け止めるために

 続いて、子どもの成長に欠かせない「愛着」や「ACE(逆境的小児期体験)」について解説がありました。虐待や家庭内暴力などの体験は、その後の心身の健康に長期的な影響を及ぼす一方、信頼できる大人や安心できる居場所といった「保護的体験」が子どもの回復を支えることが紹介されました。また、子どもの話を聞く際には誘導せず、その言葉をありのまま受け止めることの大切さや、虐待かどうかを判断する前に気づき、支援につなげる重要性が強調されました。

「少しだけおせっかいに」 支え合う社会へ

 講演の最後に木下先生は、「親を責めても問題は解決しない」「虐待はどの家庭にも起こりうる」と述べ、地域全体で子どもと家庭を支えることの必要性を訴えました。また、虐待予防は専門機関だけでなく地域の一人ひとりが関わることで実現できるとし、気になる親子を見かけた際には早めに相談や通告につなげることの大切さを説明しました。

 通告に対して「告発するようでためらう」という気持ちを抱く人も少なくないものの、通告は保護者を裏切る行為や責任追及のためのものではなく、子どもと家庭に必要な支援を届けるための第一歩であることが強調されました。そして、「少しだけおせっかいになってください」というメッセージとともに、地域の大人が子どもや保護者のSOSに気づき、一歩踏み出して関わることが、子どもの命と権利を守ることにつながると呼びかけました。

参加者からは、

「子どもを虐待から守ることはもちろんですが、親をどうサポートするか、社会全体の問題として考えなければいけないと思いました。」

「専門性と実践に基づいた、リアルでわかりやすいお話であった。虐待の現状や背景、起こるメカニズムについて理解が深まり、大きな学びにつながった。」

といった声が寄せられました。


7月4日エッセイ
独立行政法人国立病院機構 四国こどもとおとなの医療センター
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