2025.12.15
【開催報告】12月13日(土)立命館土曜講座
「白川研の貴重資料 ―「飯尾宗祇画像」の紹介 ―」
講師:川崎佐知子 教授 (立命館大学文学部)
12月のテーマ「白川静記念東洋文字文化研究所創立二十周年記念」のもと、川崎佐知子教授による講演が行われました。
会場には19名、オンラインでは延べ35名が参加しました。
今回の土曜講座では、白川研が所蔵する貴重な資料「飯尾宗祇(いいお そうぎ)肖像画」を中心に、宗祇の人物像と歴史的背景を紹介しました。
飯尾宗祇は、室町後期に活躍した連歌師であり古典学者です。和歌や古典に精通し、戦国時代を生き抜きながら諸国を巡り、連歌や和歌の指導、古典の講釈を行いました。宗祇は地方に文化を伝える重要な役割を担い、82歳で生涯を閉じる直前まで弟子たちと箱根山を越える旅を計画していたことが、弟子・宗長の記録からもわかります。
講座では、宗祇の肖像画について詳しく解説されました。生前の姿が残されている肖像画は非常に珍しく、複数の画像を並べて比較し、顔の向きの違いなど、多様なバリエーションが確認できることを紹介しました。こうした肖像画は、戦国の世で次に会える保証がない中、今でいう「記録写真」のような役割を果たしていたと考えられます。
白川静記念東洋文字文化研究所所蔵の画像は、顔は右向きで畳に座り、ふっくらとした顔立ちが特徴です。さらに、宗祇の象徴ともいえる「髭」にまつわる逸話も取り上げました。髭を一生剃らず、お香で香りをつけるほど大切にしていた宗祇は、盗賊に襲われた際、詠んだ歌で心を打ち、奪われた品を返してもらったという話は、文化人としての力を物語ります。
参加者からは「飯尾宗祇のことは知らなかったので、初めてしることができてよかった」
といった声が寄せられました。