脚本家を目指しながらスクリプターとして活躍
美術関係の仕事をしていた父親の影響で、映画美術に関心を持ち、芸術大学に進学。そこで出会ったのが、映画の仕事の中でも「脚本」でした。3回生の時、課題で映画を制作した際に脚本を担当。教鞭を取っておられた映画監督で脚本家の中島貞夫先生から熱のこもった指導を受け、初めて長編脚本を執筆しました。それが学内のコンクールで脚本賞を受賞したことで芽生えたのが、「脚本を書くのって、おもしろいな」という思いです。「将来のことはわからない。でも好きなことを一生懸命やれば、何かにつながっていくんじゃないか」。そんな思いで脚本家を志しました。
『現場』を勉強することが、脚本を書く上゙も役に立つ」と中島先生に勧められ、卒業後は東映京都撮影所に入所。スクリプターとしてキャリアをスタートさせました。スクリプターとは、撮影現場で撮影するカットを記録・管理する役割のこと。撮影はシーン順、カット順には進みません。例えば前のカットでグラスに満杯だったビールが、次のカットで突然半分になっていたらつながりません。そうならないよう各カットの内容を記録し、整合性を保つよう撮影を管理するのが大きな役割です。撮影や編集などすべての制作工程を把握していなければ務まりません。その上、撮影が始まるとほとんど休みはなく、早朝から深夜、時には翌朝まで作業に追われることも多い過酷な仕事です。体力的にも精神的にも大変だったけれど、ドラマ作りを身を持って学ぶ日々は、本当に楽しいものでした。