専門性を鍛えるため福祉教育の進んだアメリカへ
両親共にケースワーカーで、幼い頃から私にとって福祉の仕事は、とても身近なものでした。いつしかケースワーカー(ソーシャルワーカー)を志すようになり、大学で社会福祉学を専攻。卒業後は母親と同じく病院のケースワーカーになるつもりでしたが、現場に出るには力不足だと感じ、もう少し専門性を身につけようと大学院に進学しました。
今思えば岐路だったのは、修士課程を終えた後、文化交流プログラムに参加し、アメリカで1年間を過ごしたこと。現地で社会福祉に携わるさまざまな人と出会う中で、「日本より社会福祉学の教育が進んでいるアメリカで学びたい」という気持ちがわいてきました。帰国後、すぐに準備をして翌年には再び渡米。ワシントン大学の修士課程に進学しました。
アメリカの大学院での学びは、質・量ともに日本にいた頃とは比べものにならないほど厳しく、濃密でした。授業では毎回、数本の論文や書籍を読み込んで臨むのが当たり前。レポートの課題もひんぱんで、2年の間にずいぶん鍛えられました。また現場実習も豊富にありました。アルコールや薬物の依存症専門の病院で実習を経験し、依存症の問題にも関心が広がったことから、コロンビア大学の博士課程へ。4年間、健康教育学についても専門性を深めました。