アジアに対する見方が一転その衝撃が研究の原点
もともと興味を持っていた中国の国際関係について、「研究したい」とはっきり意識したのは大学4回生の時でした。高校までの歴史の授業では、19世紀、西洋からアジアに「主権国家」や「国際法」などの概念がもたらされ、近代化していったと習ってきました。ところが大学の授業で学んだのは、アジアの国々はただ従属的に受け入れたのではなく、その内側で起こっていたさまざまなダイナミズムの中で西洋化の波も受け止め、自ら変容を遂げていったことでした。そこでアジアに対する見方が一転した体験が、研究の道へ進む第一歩でした。
修士課程2回生の時、交換留学で1年間オーストラリア国立大学(ANU)へ。最初は英語に苦しみましたが、後に夫となる人やかけがえのない友人との出会いもありました。また研究においても、学術分野に縛られず、中国の国際関係について理論と実証の両面から追究できる環境で、研究指針を見定めることができました。「ここで研究を続けたい」。そんな気持ちが膨らみ、修士課程を修了後再び渡豪。ANUの博士課程に進学しました。