居住環境の向上に貢献したい
岡山県にある美作女子大学(現・美作大学)に新設される生活科学部福祉環境デザイン学科(現・社会福祉学科)に入学するため、ネパールから来日したのは1999年でした。そこで関心を持ったのが、高齢者をはじめ誰もが安全で暮らしやすい居住環境に関する研究です。折しも日本では、「バリアフリーデザイン」が登場し始めた頃。先進の知識を学び、母国の居住環境の問題解決に貢献したいと思い、進学しました。
大学院では、住居からコミュニティや都市にも目を向け、学びを広げました。博士課程ではネパールの歴史都市パタンをフィールドに、歴史や文化、社会システムの中で形成されてきたコミュニティの共同性をいかに継続し、「人々が安心・安全に暮らせるサスティナブルな都市社会」を目指せるかをテーマに研究をしました。海外研究のため、現地調査の実施およびその成果を当国だけではなく、日本をはじめ先進国にも生かす方法を模索し、頭を悩ませることも多くありました。その頃、出会った夫にも支えられ、6年をかけて博士号を取得しました。