私が初めて日本に来たのは、2010年に東京で行われたロボカップに参加したときです。日本の文化や最先端のロボット技術がとても印象に残りました。またこのときに、トムスク大学（ロシア）の訪問団の一員として立命館大学を訪れ、研究室を案内していただく中で李先生にお会いしました。この訪問で、ここで研究できたらと思うようになりました。翌年立命館大学とトムスク大学の間で、2年間で両大学の学位が与えられるDMDP（Dual Master's Degree Program）がつくられ、このプログラムに初めての学生として参加しました。

 
研究の結果、世界中からリモートアクセスでロボットのプログラミングをすることができるシステムを開発しました。具体的には、ロボット実機は立命館大学の研究室内にあり、専用のウェブサイトを通じて、世界中どこからでもこのロボットを動かすソースコードを開発することができます。そして研究室に設置されている3台のウェブカメラから、作成したプログラムによりロボットが正しく動作しているかを確認することができます。

これまでは、ロボットが手元にないとソースコードの開発ができませんでしたが、このシステムを使うと高価なロボットを自分で持つ必要がありません。さらに、みんなが入力したソースコードをオープンアクセスにすることにより、研究者が知識を共有し、ソースコードを改善していくことができるのが特徴です。

 

僕はもともとエレクトロニクスとエンジニアリングが専門で、人とロボットをインターネットで繋ぐ研究をしていました。大きなプロジェクトに携わるのは今回が初めてで、開発には1年かかりました。言葉の違いには苦労しましたが、共同研究者の仲田さんらプロジェクトメンバーのみんなが、研究だけでなく「ももたろう」を題材に日本語を教えてくれるなど、日本語のサポートもしてくれました。そして研究室の設備や環境は快適でした。僕のいるロシアのトムスクは内陸部で、インターネットで部品を注文すると到着までに2～3週間かかりますが、日本では翌日に届くのでスムーズに作業ができました。

日本では研究室のみんなも一般の方もみんな親切でした。病院に行ったときに英語が通じにくかったのには困りましたが、食べ物も美味しく、安全で過ごしやすかったです。今はロシアに帰っていますが、博士課程に進学し、研究を続けていきたいと思っています。将来の夢は、リアルな人間型のロボットを作ることです。家事や事務作業をして人の生活をより良くするようなロボットを開発したいです。



●英語版はこちら→「Developing a system that can remotely test robot programming」