在学生・卒業生の活躍

在学生・卒業生インタビュー

夢だったプロスポーツ業界へ! 大学での経験を生かして

渡辺 翼 さん


➊まずは、本学部に入学した経緯から聞かせてください。

 高校生の頃から、将来はプロスポーツ業界での勤務を漠然と夢みていた中、スポーツビジネスを学べる大学への進学を希望していました。私が受験生だった2010年当時だと、その学びが叶う大学は、わずか数校だったように記憶しています。高校時代の課外活動経験等を評価してもらえる「AO選抜入試方式」でも受験できる点に魅力を感じ、立命館大学への受験を決意し、入学する事ができました。


➋高校時代の課外活動とは、どのような事だったのでしょうか?

 私の地元にあるJリーグクラブ「水戸ホーリーホック」においてのボランティア活動です。ホームゲーム開催における運営補助や、試合中の担架隊等のボランティアを行なっていました。当時は高校生ながらJリーグの運営に少しでも携われる事に、無我夢中で取組んでいましたが、いま振り返ると、早い段階から“プロスポーツ現場で働く社会人”と接する事ができた点は、大きな経験だったと思います。


➌茨城県から滋賀県に越してきて、入学当時はどのような思い出がありますか?

 入学直前の2011年3月「東日本大震災」に見舞われ、1回生の間は茨城県と滋賀県を頻繁に往復していました。そんな中でも、基礎演習のクラスメイトから励ましてもらう等、彼らとは今でも強い絆で結ばれています。こういった基礎演習クラスの仲の良さは、スポーツ健康科学部ならではの良い部分だと思います。その後の学生生活はもちろん、卒業後のいまでも頻繁に連絡をとりますし、公私共々なにか新しいチャレンジをする際には必ず相談する等、私の人生において、欠かせない存在となる仲間達と出会えましたね。


➍学部4年間において特に印象に残っている事は何でしょうか?

 かねてより希望していたスポーツビジネス論を、高次元で学べた事も良かったですが、勉学以外から挙げるとするのであれば、学部内最大教室の“ラルカディア”において「サッカー日本代表の観戦会」を企画運営した事が、強く印象に残っています。SPOCHA+(スポッチャプラス)という、本学部の学生が中心となって活動していた団体において、地元の人々や企業、メディアを巻き込んでの観戦会イベントを創設しました。2回生から4回生に至るまで、年に1回開催をしたのですが、実施回数を重ねるごとに規模も大きくなり、私が4回生となった2014年には、ブラジルW杯の日本vsコートジボワール戦を、満員御礼となる300名以上の規模で開催しました。
 このイベント開催においては、プロジェクトマネージャーという役割のもと、運営メンバーの管理や配置指示、スポンサー企業との交渉に至るまで、大変な事も多々ありましたが、継続して大勢の人達を巻き込んでイベントを開催できた経験は、大きな自信にも繋がりました。

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➎就職活動についても、印象に残っている事について聞かせて頂けますでしょうか?

 3回生の頃に1カ月間ほど取組んだ、プロ野球球団「横浜DeNAベイスターズ」営業部でのインターンシップは、私の人生を大きく左右する出来事だったと思います。端的に言うと“非常に良い挫折経験”となりました。先述の通り、プロスポーツクラブでの「ボランティア」経験はあったものの、それは「仕事」ではありません。一見、プロスポーツの世界は華やかに見えますが、その陽の部分を支える為、試合興行をはじめ様々な手法を通じて、いかにお金を生み出すかという、事業的な側面もプロスポーツ業界での仕事においては重要であると体感しました。
 このインターンシップ期間を通じて、プロスポーツ業界で働く為には、社会人としての基礎力がないと通用しないという壁が見え、仮に運良く新卒でプロスポーツ界に飛び込めたとしても、到底戦力にはなれないと感じた事で、まずは将来的にプロスポーツ現場で戦える武器を磨く事ができる一般企業への就職に、希望を切り替えました。


➏新卒での企業就職から、現職に至るまではどのような経緯だったのでしょうか?
 
 ゼミ活動での縁もあり、新卒ではシナジーマーケティング株式会社に就職し「CRM (= Customer Relationship Management)」と呼ばれる、顧客関係管理の仕事に従事しました。在籍3年間で営業、データ分析、広告設計といった3つの部署を経験する事ができ、インターンシップ時代に壁を感じた“社会人基礎力”も、徐々に構築していく事ができました。
 そんな矢先、高校生時代のボランティアでお世話になっていた人から連絡があり「川崎フロンターレが、現場マネージャーを担える社会人経験者を探しているのだけど、興味ある?」という吉報が。学生時代からプロスポーツ業界で働く人に対して、積極的に夢を伝え、名刺を配ってきた事も功を奏し、喉から手が出るほど欲しかった誘いを頂く事ができました。実は今、川崎フロンターレでの直属の上司が、その吉報をくれた人。頂いた恩に、しっかりと報いたいですね。


➐現職ではどのような仕事を担っているのでしょうか?

 一概には言えませんが、所属選手やコーチングスタッフの、身の回りのサポートが主な業務です。遠征の宿舎手配や、外国人選手のビザ申請、住居の手配等、枚挙にいとまがありません。有難い事に、2018年シーズンの入社から計4シーズンで、3度ものリーグ優勝を経験する事ができました。少しでも選手達が快適に過ごし、プレーに集中できる環境を作り出す為に、日々丁寧に取り組んでいます。
 やりがいは沢山ありますが、中でも特に嬉しかった出来事として、2020年シーズンを最後に引退した中村憲剛さんが、自身の現役晩年期に関する日々を記した書籍の中で、わざわざ私の氏名も用いた形で、裏方スタッフへの感謝を綴ってくれていた事は、非常に感慨深い出来事になりました。
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➑最後に、学生へのメッセージをお願いします。

 いま自分がどういったスキルをもっていて、何が強みなのか。叶えたい目標や夢に対しての立ち位置や、足りない部分は何なのか。月に1回程でも良いので、自分自身を俯瞰的に見直す時間を持つ事は、重要だと感じます。私の場合は3回生でのインターンシップを経て、幸いにも自分に必要な事に気が付く事ができました。今回の記事をご覧頂いた学生さんにとっても、何か少しでも自分自身を考える契機となれば幸いです。皆さんの夢の実現を願っています。


※インタビュー及びプロフィールは、取材をした2022年10月時点の内容です。

PROFILE

渡辺 翼

立命館大学スポーツ健康科学部2期生として、入学。2015年3月に長積ゼミを卒業後、新卒ではシナジーマーケティング株式会社に就職。顧客関係管理の仕事に従事し、“社会人基礎力”を構築。現在はJリーグクラブ「川崎フロンターレ」のスタッフとして活躍。
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