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2014/11/29 順天堂大学 スポーツ健康科学部 准教授 福 典之先生の「トップアスリートの遺伝特性」についての講演がありました。


 

 20141129日1限目:スポーツ生理学に順天堂大学 スポーツ健康科学部 准教授 福 典之先生を外部講師として「トップアスリートの遺伝特性」について授業をして頂きました。遺伝情報の個人差は競技系のパフォーマンスにどのような影響を与えるのか?について、できるだけわかり易く説明をして頂きました。

授業内容としては、オリンピアンといったエリートアスリートを生むのは「氏か育ちか」という論争がありますが、競技者を対象にした大規模な研究において、競技力の遺伝率は66%であると報告され、遺伝特性の重要性が明らかとなってきました。事実、一卵性双生児が同じ種目で高い競技力を発揮する場面は目にしますが、双子の片方は短距離系種目でもう片方が長距離系種目で活躍することは皆無です。このような例からもスポーツパフォーマンスに遺伝が関与することは疑いの余地がないです。したがって、この遺伝要因の何がどのようにパフォーマンスに影響するかについて理解することは重要です。アスリートの競技力に及ぼす核遺伝子多型(ACTN3遺伝子のR577X多型)とミトコンドリア遺伝子多型について日本人競技者を例に生理学的側面からを中心に概説して頂きました。また、突然変異がパフォーマンスに与える影響についてミオスタチン遺伝子を例に述べました。このような遺伝情報を基にした適性種目の選択やトレーニングの応用は次世代のスポーツ科学で重要になってくることが予想されることからも、遺伝情報をある側面だけでなく統合的にとらえられる知識が必要であることなどの説明がありました。

 トップアスリートがそうであるゆえんに遺伝が関与することが明らかになりつつあり、スポーツ健康科学を学ぶ学生にとって有益な情報が盛りだくさんでした。


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