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2016/6/30のキャリア形成科目「スポーツ健康科学セミナーⅡ」において、株式会社ティップネス協業事業部長の藤原孝行氏にお越しいただき、「民間フィットネスクラブの仕事」というテーマでご講演いただきました。


藤原氏は、スポーツ界を賑わす最近のトピックを提示しながら、最初に、今回の授業テーマである「民間フィットネスクラブの仕事」を考える上で、狭い視野に立ってビジネスを捉えるのではなく、スポーツビジネスそのものを取り巻く環境の変化を捉えることの重要性について強調されました。特にオリンピックが商業化されて以降、スポーツという我々の身近な活動の商品価値が高まったこと、またスポーツ産業自体が大規模化と情報化によって進化を遂げ、いまや12兆円の市場規模を構成するスポーツ産業は、無視できない存在となったことを説明されました。そのスポーツ産業の中でもフィットネスクラブの市場規模は、4,000億円弱で国内スポーツ総生産に占める割合は、3.4%であるかも知れないものの、2002年に2,500億円の市場規模であったものが、10年間で1.5倍の大きさに膨れあがったことは、この分野における可能性の大きさを示していると述べられました。さらに、フィットネス先進国のアメリカと比べて、施設数、売上高、会員数は、まだまだ足下にも及んでいないという状況が、むしろ、この業界の潜在的な可能性を物語っていると述べられました。特に、フィットネスクラブ会員の年齢構成を鑑み、60歳以上の会員層の割合が全体の3割を占めることを考え、この業界を成長産業に育てるためには、若年層のライフスタイルにいかにアプローチするかが鍵を握ると述べられました。

藤原氏は、民間フィットネスクラブのトレンドは、「①Small:小型化モデルの展開」「②School:スクール事業の成長」「③Social:自治体との取り組み」といった3つの“S”で捉えることができる説明されました。“Small”については、都市部に5070坪程度の小規模スペースで、24時間対応のフィットネスクラブを展開し、先に述べたような若者層の取り込みに力を入れていると述べられました。“School”についても、トップアスリートの活躍に相まって、保護者がスイミングやダンス、またテニスなどのスクールに子どもを入会させる傾向が強まってきたことに対応し、将来を見越したスクール事業にも力を入れているということでした。そして、“Social”については、特に自治体とのタイアップが可能性を秘めていると述べられ、単に公共施設の指定管理を請け負うだけに留まらず、フィットネス事業から子育て支援事業、また介護予防やまちづくりといった地方創生にこれまでのノウハウをいかに活かせるかが、民間フィットネスクラブの今後の成長を占うと述べられました。

学生からは、民間フィットネスクラブのイメージが変わったという意見や「協業」という民間フィットネスクラブで事業の柱に鳴門いうことを感じたという意見、また会員個人の健康づくりに貢献するという視点から地域活性化の起爆剤に民間フィットネスクラブが貢献する時代になったということを実感する講義であったというコメントなどが寄せられました。


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