2020/6/18キャリア形成科目「スポーツ健康科学セミナーⅡ」特別講義:マスコミ業界(新聞業界)の仕事
去る6月18日に、キャリア形成科目「スポーツ健康科学セミナーⅡ」の授業において、毎日新聞社事業部の久保氏にマスコミ業界、とりわけ、新聞業界の仕事について特別講義をしていただきました。多くの人にとって、「新聞社に勤める」と聞くと、「記者」をイメージしがちですが、新聞社には、当然ながら、記者以外にも新聞の出版にかかわるデジタル技術部門や広告・販売を司る営業部門、またスポーツや芸術といった文化の普及を務める事業部など、多種多様な部門が存在します。登壇いただいた久保氏は、まさに「スポーツ事業部」で全国高校駅伝や選抜高校野球大会などの事業に手掛けられ、文化の社会的価値の向上とともに企業価値の向上にも努めてこられました。
まず、久保氏は、デジタル社会において、新聞の販売部数の減少について触れられ、「活字離れ」が進む現状で、広告料収入を主軸とした新聞業界が新しいビジネスモデルを早急に確立する必要があることを述べられました。とりわけ、毎日新聞社が現存する日刊紙として最も古い歴史を持ち、業界でもトップを誇る取材力を活かしながら、ニュースの配信だけでなく、スポーツや文化事業をインターネットでライブ中継するなど、ジャーナリズムを中核とした「トータル・ニュース・コンテンツ企業」へと進化を遂げる必要性について述べられました。
次に、「スポーツとメディア」の関係性について述べられ、野球や駅伝を筆頭に、日本のスポーツ界の発展に新聞社の果たした役割は大きく、アマチュアだけでなく、プロスポーツに至るまで、競技団体に投資しながら、「報道と支援」という視点から「スポーツの社会的価値」を高めることに貢献してきたことについても述べられました。同時に、メディアにとってもスポーツは、開催日が決まっており、番組制作をゼロから行わなくてもよく、常に新鮮で、爽やかさやひたむきさ、時には番狂わせなど、筋書きがないドラマ性を持ち、人々を魅了する優良コンテンツであると説明されました。その一方で、報道内容がメディアの利害や特性によって偏ってしまい兼ねないことや、メディアの影響力によって、アスリートファーストではなく、スポンサーファーストとなってしまい、スポーツの本質を歪めてしまうことがあることも指摘されました。
最後に、ご自身が事業部の仕事に携わる中で、オペレーションやリスク管理、またマネジメント能力だけでなく、「幅広い対応力」が身についたと述べられました。また企業が「事業」を進める上で、過去の経緯や歴史ということは避けて通ることができず、企業が何を大切にしているのかということにも就職活動に携わる上で重要であることを学生にメッセージされました。学生にとって、わかりやすく、大変興味深い話をしていただきました。