スポーツ健康科学セミナーⅡ:保健体育教諭の仕事
去る2021年5月27日木曜日に、ロンドン五輪シンクロナイズドスイミング(現在、アーティスティック・スイミング)の日本代表選手で主将も務められた小林千紗先生に、「保健体育教諭の仕事」というタイトルで講演していただきました。
小林先生は、本学経済学部の卒業生でもあり、現在は、京都文教中学・高等学校で保健体育科の教員として教鞭を執る傍ら、アーティスティック・スイミングの強化やオリンピズムの普及にも尽力されています。
小林先生は、講義で自身が目指す「保健体育科の教師像」として、①健康を身近に考える、②生涯に渡り、運動・スポーツにかかわる、③生徒と一緒に成長する、④時代と共に生きる、⑤オリンピックを身近に感じてもらう、という5つを掲げられました。とりわけ、印象に残ったのは、オリンピアンでトップアスリートとして競技を極められてきた小林先生が、「『勝ち』にこだわると、『価値』を見失う」とおっしゃったことです。保健体育教諭として、生徒たちが自ら身心の健康を保つために必要な「セルフコントロール」を身につけ、健康に対する考えを深めるとともにその価値について、一人ひとりの生徒がそのことを考えることができるようになることが重要であると述べられました。
また保健体育教諭は、喜びや悔しさを生徒とともに分かち合い、生徒が生涯に渡って、運動やスポーツとかかわり続けたいと感じるような態度を養うことが重要であると述べられました。そして、そのためには、知識や技能はもちろんのこと、一生、高めることができる「人間力」を向上させ続けて、「教員の質(資質)」を上げる努力が必要であると述べられました。
最後に、後輩となる受講生に以下の言葉を贈って、特別講義を締めくくられました。
どちらが楽か、ではなく、どちらが楽しいか どちらが正しいか、ではなく、どちらが温かいか どちらが得か、ではなく、どちらが徳か どちらが損しないか、ではなく、どちらが後悔しないか |