スポーツ健康科学セミナーⅡ:民間フィットネスクラブの仕事(特別講演)
2021年6月10日木曜日、コロナ禍の状況ではあるものの、標記の授業にて、株式会社ルネサンス執行役員の澁谷弘衛氏と海外事業推進部次長の阿部洋介氏に来学いただき、「民間フィットネスクラブの仕事」について、オンラインで特別講義をしていただきました。
阿部氏は、まず、株式会社ルネサンスの企業理念である「生きがい創造企業」を提示しながら、企業の社会的存続意義について説明され、サービス産業で鎬を削るフィットネス業界に身を置く企業として、業界を支え、イノベーションを図りながら、「スポーツと健康のソリューションカンパニー」として成長を遂げてきたのかについて述べられました。
次に、売上高や営業利益、開設クラブ数の推移などについて実際のデータを提示されながら、コロナ禍の厳しい経営環境における業界の動向や構造の変化について説明されました。とりわけ、近年では、フィットネスクラブの「三種の神器」といわれた「ジム・スタジオ・プール」に加え、様々な付帯施設を備えた総合スポーツクラブよりも、暗闇フィットネス、ヨガ、ピラティス、レジスタンストレーニングといった活動に代表されるようなコンセプト型スタジオ、また24時間型ジムやパーソナルジムなどに特化した小規模業態のクラブが増加し続けている状況などについても説明されました。
その他にも、健康やフィットネスにかかわる企業は多種・多様化し、阿部氏は、「カオスマップ」として、複雑なビジネス環境と厳しい競争環境下に置かれている業界の状況について具体的に説明されました。ただ、その一方で、諸外国に比べて人口あたりの店舗数やフィットネス人口が少ないこと、また子どもの体力低下と肥満の増加、テレワークの増大にともなう身体活動量の減少、高齢者の認知症予防や介護予防、さらには、AIの導入やDXの加速度的な進展を踏まえて、民間フィットネスクラブは、これまで蓄積したノウハウや英知を結集し、多様な事業展開や社会的課題にソリューションを講じることによって、さらなる業界の発展を遂げることが可能であるとも述べられました。
講義後、受講学生からは、ルネサンスが展開している海外事業をはじめ、様々な質問が寄せられました。受講学生にとって、「単一の事業体」から「複合事業」への転換を図ろうとしているルネサンスに対して、また民間フィットネスクラブのビジネスに対して可能性を感じる機会になったものと思われます。