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2022年度藍星賞受賞者

2022年度藍星賞受賞者リスト

  1. 1.研究部門  前大 純朗
    (立命館大学スポーツ健康科学部  助教)
  2. 2.研究部門  松村 哲平
    (立命館大学大学院 スポーツ健康科学研究科博士課程前期課程2回生)
  3. 3.教育部門  松田 祐一
    (立命館慶祥中・高等学校 教諭)
  4. 4.国際部門  山本 和広
    (立命館大学 スポーツ健康科学部 卒業生6期生 現シアトル・マリナーズ マニュアルセラピスト)

1) 前大 純朗 氏

前大氏は、筋力や筋量の増加に効果的なトレーニングの方法や、アスリートの運動パフォーマンスの規定因子に関する研究を精力的に進めており、これまでに査読付き国際学術誌に40本以上の論文を掲載している。2022年度においても、6(筆頭1、共著5)本の論文が掲載され、2023年2月時点で他にも4(筆頭1、共著3)本の論文が査読中である。また、研究費の獲得にも積極的であり、科研費(基盤B、他)や民間の助成金(ヤマハ発動機スポーツ振興財団、他)など、研究代表者としてこれまでに4,000万円以上の競争的外部資金を獲得している。加えて、研究成果をスポーツの現場で講演・実践指導するなど、本学部のアウトリーチ活動に貢献している。以上の理由から、前大氏は藍星賞に相応しい人物であると判断します。

2) 松村 哲平 氏

松村哲平さんは、学部生時に卒業論文として遂行した研究成果を、本学のハイインパクトジャーナルに分類されているスポーツ医学会の格調高い国際誌 Medicine &Science in Sports & Exercise誌に、筆頭著者として、「Acute Effect of Caffeine Supplementation on 100-m Sprint Running Performance: A Field Test」と題して発信しました。これまで、カフェインがスポーツ競技力向上に効果的であることは報告されていましたが、陸上競技の100 m走に対する有効性は検討されていませんでした。松村さんたちは、100 m走に対するカフェイン摂取の急性効果を、しっかりと統制された条件の下、実際の100 m走のフィールドテストにて実証しました。その成果は、NHKのニュースにも取り上げられ、全国的に大変な反響を呼んでおります。

松村哲平さんは、現在大学院博士課程前期課程2回生として在籍し、引き続き、カフェインの身体運動能力に対する効果を、急性の摂取量やカフェイン摂取習慣なども考慮して検討しております。その成果もまた、同上の国際誌に投稿し、現在は査読中でございます。さらに現在は、カフェインの作用機序を、分子レベルで検討する基礎研究にも着手しております。

将来は、スポーツ科学のエビデンスを現場に応用・還元すべく、基礎研究と応用研究を往還する最先端の研究を展開していきたいと標榜しており、次世代研究大学としての本学を牽引する、まさに次世代の研究者として、今後の活躍が大いに期待できる人物です。また、スポーツ健康科学部生時代は、1回生時から最終学年時まで、連続して西園寺記念奨学金を受賞していることからも、スポーツ健康科学部・研究科生として、今後のロールモデルとなる人物でもあり、同世代や次世代の学部生ならびに研究科生に対する波及効果は計り知れません。

3) 松田 祐一 氏

松田先生は立命館慶祥高校ラグビー部の監督として、創部26年目に北海道大会において強豪札幌山の手高校に18対7で勝利し、念願の全国大会(花園出場)の切符をつかんだ。ご存じのように、札幌山の手高校は、選手のリクルート、練習時間を含めて、スポーツ強化に熱心な高校であり、一方で立命館慶祥高校は、進学校かつ練習時間の制約がある。その中で、松田監督の指導は、従来の強豪校、スポーツ強化校にはない考え方があり、その指導スタイルの変革が今回成果をもたらし、新しい指導スタイルを示すことになった。
監督が練習メニューを決め、支持を出す練習から、生徒たちがミーティングを重ね、自分たちで何が課題で今何をやるべきかを話し合いながら主体的に練習に取り組む形に変えた事である。試合においても監督が指示を出すのではなく、選手自らが考え判断するスタイルに変わり、今回の全国大会につながった。自分の指導スタイルを変え、向上心を持って指導に当たる姿勢は素晴らしい。
これからも良き指導者としてますますの活躍が期待されます。

4) 山本 和広 氏

山本和広さん(シアトル・マリナーズ)は、本学部のGATプログラム2期生として、East Stroudsburg Universityの修士課程に進学。コロナ禍の2020年7月、米国のアスレティックトレーナー資格(ATC)を取得後、アスレチックトレーナーとして、全米大学体育協会一部リーグに所属する大学や、Ball State Universityのダンス演劇学科で、舞台芸術に関わる学生を担当してきた。

そして現在、マニュアルセラピストとしてメジャーリーグ(MLB)のシアトル・マリナーズに加入。メディカルスタッフの一員として全162試合に帯同し、同球団所属メジャーリーガの治療を担当している。 
山本さんは在学中より、GATプログラムの他、海老ゼミで日本の食文化とスポーツ栄養学を学び、BKC国際寮でのレジデントメンターや、国立スポーツ科学センターでインターンを経験するなど、興味関心とその活動は多岐渡っていた。

山本さんがマリナーズへの採用が決まった際のコメント「球団からは、スポーツ健康科学部で学んだ学際的な視点や、舞台芸術医療での経験、さらには国際的な文化的背景を高く評価して頂いた。球団から、『野球で長年やってきた私たちにはない経験を、シアトル・マリナーズで発揮してほしい』と言われ、多種多様な専門家が集まるこの球団でこれからどんな挑戦ができることをとても楽しみにしている」に象徴されるように、スポーツ健康科学部の学びを、世界のスポーツの世界へ発信する卒業生の代表として、山本和広さんは『藍星賞』に相応しい人物である。

  • オンラインにて表彰式にご参加いただいた前大先生
  • 表彰式の松村さん(右)と学会長の長積先生(左)
  • オンラインにて表彰式にご参加いただいた松田先生
  • 山本 和広さん