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2023年度藍星賞受賞者
2023年度藍星賞受賞者リスト
- 1.研究部門 天笠 志保
(帝京大学大学院 公衆衛生学研究科講師) - 2.教育部門 杉山 敬
(立命館大学総合科学技術研究機構・助教) - 3.国際部門 寺田 昌史
(立命館大学総合科学技術研究機構・准教授) - 4.社会連携部門 奥松 功基
(リオールジム代表取締役)
1)天笠 志保 氏
天笠志保氏は、スポーツ健康科学部の二期生として優秀な成績で卒業した後、東京医科大学大学院医学研究科で2020年に博士号を取得し、現在、帝京大学大学院公衆衛生学研究科講師を務めている。天笠氏は、公衆衛生分野を専門とし、これまでに国際誌・国内誌を含め100編以上の論文を執筆し、口頭発表も100回以上行っている。また学会の発表優秀賞も学部時代から受賞し、これまでに優秀賞を12回受賞している。これまでに数多くの学会や国際誌の編集委員を務めるなど、若くして非常に顕著な研究業績を収めていることから、藍星賞の研究部門の候補者として推薦致します。
(推薦者:祐伯 敦史 教授)
2)杉山 敬 氏
この度、教育部門において、推薦させていただく立命館大学総合科学技術研究機構助教の杉山敬氏は、学校法人立命館がスポーツ庁より受託している「女性アスリート育成・支援プロジェクト」研究(令和4〜5年度)のうち、「女性アスリートの育成パスウェイおよび各種競技特性を踏まえ、健康課題に対応したコンディショニングや指導マニュアルの策定・実施」ならびに「女性アスリートのための次世代型の課題マニュアルおよび手順書の実装―アスリート育成パスウェイを考慮した学びシステムの構築と併せてー」において、事業推進の中心的な役割を果たされました。
とりわけ、上記研究課題を推進する上で不可欠であった、滋賀県、草津市、ならびに京都府教育委員会の中学校及び高等学校との連携を進め、各学校に出向いてのジュニア女性アスリートを対象とした計測、フィードバックを丁寧に進められました。また、研究成果についてのセミナー、シンポジウム企画、運営においても尽力され、現場の生徒のみなさん、指導者の方々からも信頼と感謝を得ておられます。加えて、この間のオンライン・シンポジウムの企画、運営などにより、全国にもこれまでの研究成果を発信し、対象校の女性アスリートが自らの健康意識をたかめ、怪我を予防し、パフォーマンスを高めることに貢献しております。さらに、生徒のみなさんを実際にサポートする役割を果たした、大学院生・学部学生への指導についても、基礎的知識の確認と指導法の習得についても丁寧に対応され、当該学生の成長に大きく貢献をされました。
これらの点より、杉山敬氏を今年度藍星賞の教育部門における受賞者に相応しいと考えるため、推薦いたします。
(推薦者:上田 憲嗣 教授)
3)寺田 昌史 氏
寺田昌史氏は、立命館大学(以下、本学と称す)スポーツ健康科学部・助教として着任し、その後、講師として日本のみならず海外の大学をはじめとする様々な研究機関に所属する教育者・研究者・現場実践者・医療従事者と国際的なネットワークを形成し、国際交流会の開催や国際共同研究の実施等を介して教育と研究の両側面から積極的な活動を行ってきた。
寺田氏は、本学スポーツ健康科学部に着任してから現在に至るまで一貫し、グローバル・アスレティックトレーニング(GAT)プログラムを主導的に管理・運営する立場として携わり、プログラム受講生の確かな専門的知識や現場実践的能力の獲得を目指して精力的に学びの充実に貢献してきた。とりわけ、自身が有する国際的なネットワークを強みとして、GATプログラムの最大の特長であるアスレティックトレーニング教育認定委員会に認可されたアスレティックトレーニング教育プログラムを保有する米国の大学院との提携において、2018年にSpalding University、続いて2021年にThe University of North Carolina at Greensboroの締結に多大な貢献をした。さらに、本学とPurdue UniversityおよびSan Jose State Universityとのグローバル教育や研究活動の連携を推進することを目的とし、教員や学生、文化活動等の様々な交流を積極的に図るための包括協定の締結にも貢献した。このような一連の教育成果として、昨年度の藍星賞国際部門を受賞した山本和広氏を含む、複数の優秀なGATプログラムの卒業生を輩出し、その卒業生の米国アスレティックトレーナー資格の取得に尽力してきた。
寺田氏は、優れた教育者としてだけでなく、研究者としても本学スポーツ健康科学部に着任してから現在に至るまで一貫し、スポーツ健康科学やアスレティックトレーニング学に注力した精力的な研究活動を行い、この間に48編の論文を国際学術誌に発表してきた。また、自身が有する国際的なネットワークや主体的な研究テーマの知識・見解を存分に発揮し、スポーツ科学の最高峰の国際学術誌であるBritish Journal of Sports Medicineに16ヵ国の著名なスポーツ健康科学やアスレティックトレーニング学の研究者が共同で発表した『足関節捻挫受傷後のスポーツ競技復帰の判断』に関する論文「Return to sport decisions after an acute lateral ankle sprain injury: introducing the PAASS framework-an international multidisciplinary consensus(Vol.55, 1270-1276)」において、日本人で唯一の共同研究者として大きく貢献した。
寺田氏は、一昨年の9th International Ankle Symposium(世界各国から約150名の教育者・研究者・現場実践者・医療従事者が参加)では大会長および実行委員長として、国内外の研究者と密に連携を図り、日本で初めてとなる当該学会の開催の成功に導いた。また、昨年に日本で開催されたXXIX Congress of International Society of Biomechanics では、Ankle Injury Biomechanics Symposiumのセッションの座長を務める等し、本邦のみならず世界のスポーツ健康科学やアスレティックトレーニング学の学術的発展ならびにそれを牽引する研究者として活躍している。
以上のことから、寺田昌史氏は、国際的視野に立脚し、確かな教育活動と実践的かつ先駆的な研究活動を展開しているとともに、本学スポーツ健康科学部・研究科への尽力を鑑み、藍星賞(国際部門)を受賞するに相応しい人物として強く推薦する。
(推薦者:伊坂 忠夫 教授)
4)奥松 功基 氏
奥松功基氏は、真田ゼミ2期生で、筑波大学大学院に進学し博士号を取得されました。入学当時から健康運動指導士に興味を持ち、健康トレーナーへの夢を持っていました。現在は、リオールジム 代表取締役として医療施設と連携し、乳がん患者専門の支援サポートを行っています。スポーツ選手等を対象とするのではなく乳がん患者を対象とした、リハビリテーション分野における新しいトレーナーの形を作った功績は非常に大きく、スポーツ健康科学会「藍星賞」に該当すると思います。
(推薦者:真田 樹義 教授)
表彰式の様子
天笠さんと学会長の長積先生 天笠志保さん 杉山先生と学会長の長積先生 杉山敬先生
個別での表彰の様子
寺田昌史先生 事務室で表彰
【受賞のメッセージ】
この度は藍星賞を賜り、大変光栄に感じております。同時に名誉ある賞に恥じぬよう身の引き締まる思いです。
ご推薦くださった伊坂先生、選考委員の先生方、これまでご指導いただきました多くの先生方、共同研究者の先生方、スポーツ健康科学部の職員の皆さま、そしてこれまで出会った学生、大学院生の方々に深く感謝いたします。
私は、これまで海外大学をはじめとする様々な教育研究機関に所属する教育研究者の方と 国際的なネットワークを形成し、交流会の開催や共同研究の実施など、教育と研究の両側面から連携をとってきました。例えば、University of New Mexico や San José State University など海外大学でアスレティックトレーニングを学ぶ学生と Global Athletic Training (GAT) プログラムに参加する学生との交流会などを積極的に開催してきました。加えて、 National Athletic Trainers Association (NATA)の会長と NATA 国際委員長と GAT プログラム生と交流を図る機会も創出してきました。海外の教育機関からの来訪者からは、 「国内の数大学を訪問した中で学生と深く交流できた大学は他になく、学生の満足度も 非常に高いものであった」という声を頂いています。
今年も2名のGATプログラム修了生が無事にアスレチックトレーナーの資格認定試験に1発で合格し、GATプログラム修了生は今のところ、100%の合格率です。加えて、GATプログラム修了生が様々な場所でグローバルに活躍している姿を見るととても嬉しくなります。また、「本当に寺田先生から教わったことがいろんな面で活きていて、その面でも感謝の気持ちでいっぱいです。」とGATプログラム修了生からメッセージをいただいた時は、感無量でした。少しでも本学のスポーツ健康科学部のグローバル化および国際的な視野でスポーツ健康科学を担う卒業生・修了生を輩出することに貢献できたのであれば、嬉しい限りです。ただ、Purdue UniversityとGATプログラムとの交流会を今年6月に開催する予定で話を進めていた件と、米国バージニア州のShenandoah University とGATプログラムとの提携について計画をしていたのですが、2024年3月31日にスポーツ健康科学部での任期を終える関係で実現することができずに心残りではございます。
研究面では、海外の研究者と 色々な国際学術大会にてシンポジウムやワークショップなどを共同開催したことや、これまで形成してきた国際的なネットワーク通じて、大会長および実行委員長として日本にて開催した国際学術大会の成功を収めることができました。国際学会(NATA Clinical Symposia & AT Expo)にて、GATプログラム修了生が私の指導のもとで行われた研究発表で「Pre-Professional/Professional Student Outstanding Research Award」を受賞し表彰されたことはとても喜ばしいことでした。研究を通して、学生がアスレティックトレーニングに関わる学術的興味や関心を持つことに少しでも貢献することができたのであれば、嬉しい限りです。
今回の受賞を励みに、今後も実践と、研究、教育に尽力し、グローバル展開を推進することで、グローバル社会の発展に貢献し、多文化共生社会の実現に向けて取り組んでいきます。
最後に、これからの社会を担うスポーツ健康科学部の学生の皆さんへのメッセージです。私は、アメリカ合衆国にて、経済的に豊かな学生が比較的多く在籍する私立中学・高校や経済的貧困な地域の公立中学・高校など社会経済的背景が異なる現場にアスレティックトレーナーとして勤務してきた経験がございます。社会経済的背景が異なる現場では、学生や保護者の考え方・物事の捉え方や・価値観や、コミュニケーションの取り方、アスレティックトレーナーに求める役割も異なり、多様性について非常に貴重な経験ができました。国際的な視野や学際的知識を備え、グローバルに活躍するためには、文化の違いに敏感であり、自分の文化的能力を見直すことが重要です。そのためには、異なる民族性、宗教、文化的背景、社会経済的背景、国籍を持つ人々と交流を深める機会を求めていくことが必要です。大学の外へ積極的に出ていくことで、そうした交流の機会を見つけることができるでしょう。本学では、多様な「つながり」を育む機会を数多く提供しているので、これらを積極的に活用していきましょう!
最後となりますが、この度の受賞について、重ねて深くお礼を申し上げます。
奥松功基さん 真田先生の授業後に表彰
【受賞のメッセージ】
今回の受賞を大変光栄に思います。
がん経験者向けの運動を日本で専門的におこなっているジムは少なく、この分野の発展に尽力してまいります。
リオールジムはこれからもメディカルフィットネスに焦点を当て、「エビデンスベース・寄り添いの心」を忘れずに取り組んでまいりますので引き続き応援をよろしくお願いいたします。