今年で開設8年目を迎える音楽関連団体共同寄附講座「デジタル/
ネット文化・産業論」は、一般社団法人日本音楽出版社協会、
一般社団法人コンサートプロモーターズ協会、社団法人日本
芸能実演家団体協議会・実演家著作隣接権センターの3つの団体の
寄附から成り立つ講座で、音楽評論家の反畑誠一客員教授の
コーディネートによって、コンテンツ産業界の最前線で活躍されて
いる方々をゲスト講師として招聘するリレー形式の講義です。
この科目では、デジタル化とインターネットがもたらした文化・
産業の構造変化を多角的に現状分析・認識し、次世代の方向性を
研究することを課題としており、コンテンツビジネスやエンタ
テインメントビジネスに関心を持つ多くの学生が受講しています。
10月12日(水)に行われた第3回講義では、本講座の寄附団体の
ひとつである社団法人日本芸能実演家団体協議会・実演家著作
隣接権センター運営委員であり、自らがミュージシャン、編曲家
としても活躍している椎名和夫氏をお招きし、私的録音録画補償金
制度をめぐる訴訟事件とその後についての講義が行われました。
講義ではまず、音楽家としての経歴や活動について、椎名氏が
関わってこられた楽曲を流しながら楽しくご紹介いただき、その後、
音楽家の置かれている現状やクリエーターへの対価の還元サイクル
についてご説明いただきました。
パソコン等によるCDコピーの一般化や違法コピーの蔓延により、
クリエーターへの対価の還元が弱体化し、新譜制作の減少や音楽
文化の衰退を招くことを学生は学び、音楽産業が発展するためには、
権利者が守られる制度の確立と「音楽創造のサイクルの維持」が
重要であることを実感しました。
さらに、私的録音録画補償金制度の現状や問題点について詳しく
解説していただき、「ユーザーの利便性の向上とクリエーターの保護」
という相矛盾する問題を解決するためにはどうすればよいか、学生は
具体的に考え始め、さらに学習を深めていく意欲を示しました。