スポーツ社会専攻では、2020年12月18日(金)13:00~16:10に以学館IG101ホールにて、2020年度「スポーツ社会専攻企画講演会キャリアイメージ形成:スポーツに関連した仕事の実際~先輩の話を聞いてみよう!」を開催しました。この企画は2013年度からスタートして、本年度で6回目を迎えます。毎回1回生をメインターゲットに、卒業後のキャリアイメージ形成をテーマとして、夢や目標を持って社会の現実をふまえながら、将来を設計する力を磨くことを目的に開催してきました。今回は「生き方・キャリアモデル研究」のビジョンアプローチの観点から、古宮克人氏(2011年卒:智辯和歌山高校教員を経て独立)、三浦槙佑子氏(2016年卒:(株)京都パープルサンガ普及部)、伊東壮大氏(2014年卒:(株)阪神コンテンツリンク)、松橋佳絵氏(2020年卒:ミズノ株式会社法人営業部)の 4名の卒業生をお招きしてご講演をいただきました。
今年度はコロナ禍での開催になりましたので、前半100分間は「3密」「換気」「消毒」に配慮しながら、zoomを併用して4人の演者による講演と質疑を行い、休憩をはさんだ後半は、参加学生が3つの会場に分かれ、講師がローテーションしつつ小集団での交流の機会を持ちました。
古宮氏からは、体育会野球部キャプテンとして活躍し、大学卒業後に母校での体育教員及び野球部部長を経て独立した経験を体育会部活動と勉強・教職との両立、社会人となって家族を持ってからのライフワークバランスを軸にお伝えいただきました。地域でベースボールスクールを運営しつつ、講演会、実家の農業等に従事している現状は、得意なことを仕事にする「スラッシャー」という新しい働き方とマッチしていました。三浦氏からは、目標がはっきりしなかった学生時代に海外留学を経験したこと、卒業後に高校時代からあこがれていた職種に就職したものの理想と現実のギャップが大きかったこと、転職には語学を活用しつつ現職のJクラブに採用されたこと、プロスポーツを通した子どもたちの育成に関わっている現職のやりがい等をお話しいただきました。得意な分野を持つことの重要性が印象に残りました。
伊東氏からは、プロスポーツに関わるきっかけとして、学生時代に「スポーツ社会特殊講義:アメリカ西海岸プログラム」に参加したこと、プロスポーツに関わる仕事は新卒採用が厳しいことから、一旦フィットネス企業に就職し、現職への転職に成功したというご自身の歩みに加え、阪神甲子園球場および阪神タイガース関連のスポンサー営業・企画に関わっているという現在の仕事についてお話しがありました。かならずしも直線的でないキャリアで希望の職に至る可能性を提示していただきました。最後に登場した松橋氏からは、地元広島のプロスポーツに関わりたいと考え西海岸プログラムにも参加したが、専攻企画で出会ったパラスポーツをきっかけに産社プロジェクトRISPを立ち上げたこと、Bリーグのインターンに加えていろいろな職種のインターンを経てから、現在のスポーツメーカーに就職した経緯をお話しいただきました。学生との年齢も近く、失敗を繰り返し、紆余曲折しながら将来を設計していった先輩たちの生き方は、卒業後の自己像を具体的にイメージできずに迷いや不安を感じる学生たちに響いたようでした。
時間に限りがあることから全ての質問を取り上げることが出来ませんでしたが、参加学生からのコミュニケーションペーパーを通した質問では、学生時代の留学について、体育会活動と勉強の両立について、スポーツビジネス関連への就職について、インターンシップや就活について等、具体的な疑問が投げかけられました。講演後には、「スポーツの企画に関連した仕事へのアプローチがイメージできた。大学生活を含めて将来を考える機会になった」、「これまで自分の視野が狭く、多様なルートが思い浮かばなかったが、先輩の話を聞いて学生時代からいろいろ挑戦してみたいと思った」、「プロスポーツ球団に関わる仕事について知ることができる良い機会だった」との感想がありました。また例年とは異なり、人とのつながりや自己開示の重要性は理解できたが直接的な交流が制約されるコロナ禍での学生生活の不安に触れる意見もありました。入学時よりオンライン授業がメインになっている1回生にとって、本専攻企画は、先輩との繋がりに触れる貴重な学びの機会でした。今回の専攻企画が学生、教職員共にWithコロナを踏まえた学生生活の課題を共有する一助になったと考えています。
今回の専攻企画にご協力いただいた講師の皆様はじめ関係各位に感謝申し上げます。
文責 産業社会学部スポーツ社会専攻 教授 金山千広