産業社会学部金山ゼミが2月7日号に続き2月14日発刊の
SANKEI EXPRESSに掲載されました。
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―掲載記事要約―
東日本大震災後、安否情報や被災地の詳細な情報を
放送し続け、人々を勇気づけてきた被災地のラジオ局。
人々を結ぶ「ラジオの力」を信じていた私たちは、
ラジオ局の現状に混乱しながらも宮城県で取材を続け
ました。
「発信者側だけでなく、震災直後にその放送を耳に
していた人たちの声を聞きたい。」そう思いJR石巻駅前
で通りがかりの年配の男性に震災時のラジオについて
尋ねました。
男性によると、当時避難所ではラジオはいつも流れて
いたと言います。しかし、「ラジオよりも"人"に助け
られた。人の温かさが何よりも大きかった。」という
お話を受けて、ラジオにとらわれるばかりに被災地の
人々の生活そのものを考えていなかったことに
気付かされました。
確かに私たちは「ラジオが役に立った」という表面的な
部分ばかりをとらえていたのかもしれません。しかし、
東日本大震災がラジオの存在意義を考え直すきっかけと
なったことも、また事実ではないでしょうか。
震災直後に設立されたコミュニティFMは、復興とともに
地域に根を下ろし、継続的に運営していくために、
どのような試みをしてきたのか、その軌跡の中に東北の
コミュニティFMの課題を解決する糸口があると感じ、
関西に取材の場を移しました。
1995年の阪神・淡路大震災を契機に誕生した「FM
わいわい」は、神戸市長田区の教会の敷地内にあります。
「FMわいわい」は阪神・淡路大震災当時、鷹取に住む
多くの外国人のため立ち上がったFM局です。
外国人だけでなく、お年寄りや体の不自由な人、女性など
、弱い立場におかれている人たちの情報も流すようになり、
ラジオで地域を繋いでいきました。「FMわいわい」は、
地域の声を同じ地域に住む住民のために「多文化・多言語
放送」として発信。地域の人と人を結びつけることを
通じてグローバルに繋がっていくことを方針として打ち
出しています。また、16年間の地道な活動経験を生かし、
東日本大震災で発足したコミュニティFMにも機材を提供
するなど、積極的に支援をおこなっています。
私たちは、震災によって人と人の繋がりの大切さを再確認
できたことを2011年のトレンドとして終わらせるのでは
なく、長期的な課題として考えていかなくてはならない
ことを痛感しました。私たち自身、2011年3月から
コミュニティラジオに関わってきましたが、この活動を
通じて築いた繋がりをこれからも大切にしていきたいです。
被災地のラジオは、リスナーや地域との繋がりを実現する
ための「媒体」にすぎないということを、改めて私たちに
教えてくれました。その「媒体」を生かすのは、人の
温かさであり、熱い思いであり、繋がりなのです。
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<掲載記事>