スポーツ社会専攻教員の権 学俊准教授が担当する企画研究
(アジアスポーツ文化研究と韓国スタディプログラム)にて、
2012年9月10日から9月18日にかけて8泊9日の韓国スタディ
プログラムが実施されました。
このプログラムは、韓国スポーツ文化について学ぶとともに、
「東アジアの平和と安全」「人権」「日韓関係」などのテー
マに関連する知識習得を目指すもので、プログラムを通じて、
国際的に通用する広い視野を養い、相手国の文化を尊重しな
がら日韓両国の共存・共栄を目指すことのできる人材の育成
と、学生間交流を通じた日韓両国の共存共栄な関係構築を
目標に掲げたプログラムです。
参加学生は、前期の間に植民地時代のスポーツや、韓国の
スポーツ文化、日韓の歴史、教科書問題、慰安婦問題、両国
の大衆文化などのテーマで発表を行い、主に日韓間のスポー
ツ、歴史、文化交流に関する知識を深めてきました。
そして、この前期での事前学習を土台にして臨んだ今回の
プログラムでは、まずソウル近郊を中心に活動し、韓国の
大衆文化で世界的に有名なNANTA公演の見学、朝鮮総督府
関連の建物の残る景福宮や、韓国民主化の聖地である明洞
カトリック教会、植民地時代の多くの資料が残存する西大
門刑務所歴史館、韓国生活文化が息づく南大門市場など日
本とも関わりのある歴史的な場所を訪れ、日韓の歴史や韓
国の生活文化などをより実感として学ぶことができました。
また、スポーツ関連では、2002FIFAワールドカップ記念館、
ワールドカップ競技場、韓国体育大学、オリンピック記念
館を見学し、韓国社会とスポーツとの密接な関わりも知る
ことができました。
また、プログラム3日目、4日目に訪れた漢陽大学校スポー
ツ産業学科では、漢陽大学の教員から「Sport as socio-
cultural catalyst for multicultural development in
Korea」、「KOREAN SPORT INDUSTRY」というテーマで特別
講義を受け、その後の共同セミナー(「Sport, Media &
Globalization」)では、両校の代表学生が英語によるプレ
ゼンを行い、国という枠組みを超え両国のスポーツの現状
や課題に関連して活発な議論がなされました。
プログラムの後半ではソウルを離れ、世明大学の日本語
学科の学生たちとホームステイや合同合宿、スポーツ交流
会などを通して約3日間の交流を行いました。
世明大学教員から、「翻訳絵本の世界-韓国絵本と日本絵本-」
「韓日交流と相互認識の推移について」というテーマで特別
講義を受け、共同セミナー(「越境する韓国と日本の大衆文
化の現状と国民意識」)では、日韓の学生がそれぞれ発表を
行い、両国のテレビドラマやアニメ、映画、マンガ、音楽と
いった大衆文化が、国民意識や若者の意識にどのような影響
をもたらしているのか熱い議論が交わされ、この大衆文化に
おける日韓交流が持つ効果や意義、役割に言及する多くの
意見が出されました。
また、セミナーを通じて未来を担う若い世代である学生たち
が日韓関係の今後について考え、話し合い、ともに日韓の
未来について確認し合えたことにとても大きな意義が感じら
れました。
また、両大学学生混合のグループをつくり、グループ対抗の
スポーツ交流会も開催され、スポーツという国を越えた文化
を通して両国の学生が楽しみながら友好を深める機会となり
ました。
今回のプログラムへ参加したスポーツ社会専攻4回生の平野
健人さんは、「スタディツアーおよび韓国学生との交流を通
じて、文献やメディアを通してだけでは感じられない貴重な
体験をすることができました。特に、自分たちと同じ世代で
ある韓国の学生とふれあい、日韓関係について考え、寝食を
ともにし、同じ時間を共有できたことは非常に大きな財産に
なると感じます。」と感想を語ってくれたように、日韓間で
領土問題が頻繁にメディアに取り上げられていた時期に、
両国の大学生の間で価値ある交流ができたと感じております。
今後もこのような交流を継続させて、お互いの学びや、より
よい関係の構築につなげていきたいと考えています。