ある、「国際セミナー」ではこの6月、世界的に活躍をされて
いる産社OBの方を招聘し、特別講義を実施しました。
6月21日(金)は、和食料亭「菊乃井」主人の村田吉弘さんに、
「日本食を世界に」と題してお話をいただきました。
<和食料亭「菊乃井」主人 村田吉弘さん>
村田さんは、京都・祇園の老舗料亭「菊乃井」の長男として
生まれ、立命館大学在学中に、フランス料理修行のため渡仏。
大学卒業後は名古屋の料亭「加茂免」で修行を積み、1976年
「菊乃井木屋町店」を開店しました。自身のライフワークとして、
「日本料理を正しく世界に発信する」「公利のために料理を作る」
を実践されています。現在は海外にも足を広げ、2012年9月ロン
ドンに「クリサン(厨仙)」をオープンしました。
講義の中で村田さんは、「日本料理と諸外国の料理との最大の
違いは、日本料理が旨味の料理だという点である。世界では、
辛味・甘味・苦味・酸味の四味で料理が構成されているが、日本
料理では第五の味である旨味を中心にして、四味を同心円状に
配置している。旨味である出汁によって味付けするというのは日
本独自の発想であり、最大の特徴である。
特異な文化を持つ日本は、世界においてキーとなる存在になって
いる。」と述べられました。
村田さんは、「産社を選んだ明確な理由があったわけではあり
ませんが、振り返ってみると、産社で勉強して良かったと今は
思っています。」と話され、受講生に向けて、「グローバルな視点
に立って物事を考え、世界にどのような形で日本の文化を伝え
ていくかを考えなければならない。日本の伝統産業をプロデュー
ス、ディレクションすることで、必ず日本の伝統産業は息を吹き
返す。それができるのは、産業社会学部のような学部で「社会」
について学んでいるあなたたちです。今のうちに世界を歩き回り、
色々なものを見つけてきてほしい。そして、様々な事柄に対し、
疑問を持ち検証していく中で、たくさんのことを吸収してほしい。」
と熱いメッセージを送ってくださいました。
本講義を通して、日本料理のあるべき姿や、グローバルな視点
から見た日本料理の今後の展望を聞かせていただき、受講生に
とっては、今後学んでいく方向性やビジョンを見出すことができた、
非常に実りある90分間となりました。